「犬バカと呼んで」おてんばな子供たち(#046)
我が家に残った長女ニッキーと3男ハンス。
この二人は小さい頃からあまり仲が良くない。
ハンスはポワ~ンとしていて、男兄弟の中では一番の弱虫だったのに、
ニッキーに対しては強気で、いじめて泣かせることが多かった。
当時住んでいた家の台所と居間の間には引き戸がついていたが、
普段は風通しを良くするために開けていた。
クリスには台所に入らないよう教えたのでいつも居間で待っていたが、
子供たちはまだわからないので、勝手に入らないよう居間と台所の境目に、
間仕切り用ワイヤーネットをたてかけていた。
台所で食餌の支度をしていると、仔犬たちはフェンス越しに
鼻をヒクヒクさせながら、台所に入りたそうにしていた。
ある日のこと、私が目を離した隙にハンスがフェンスを超えて台所に侵入した。
現場は見ていなかったが、ネットの高さは60センチあったからおそらくよじ登ったのだろう。
スコットの脱走劇を思い出す。
ハンスは意気揚々と台所の中を歩き回っているところを私にみつかり居間に戻された。
そんなにひどく叱った記憶はないが、それ以後ハンスは一度もネットを越えようとはしなかった。
ポワーンとしているようだが、聞くべきところはちゃんと聞いているらしい。
しかし、ハンスのこの行動が、その後大変なことをひきおこしてしまったのである。
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