「犬バカと呼んで」散歩の醍醐味は・・。(#031)
人慣らしは順調に進み、クリスは愛想のいい娘に育っていった。
でも、私としては犬ともそれなりに問題なく付き合って欲しい。
どんな犬にも愛想をふりまく必要はないが、喧嘩を売るような犬にはなって欲しくなかった。
クリスが人並みの散歩ができるようになった頃、私は早朝の公園で仲良く走り回る犬たちに出会った。
犬同士でからみあって遊ぶというよりは、ある飼い主が投げたボールをみんなで仲良く取りに行ったり、時折犬同士でおいかけっこをするといもの。
なんのトラウマもなかった彼女は大きな黒ラブさんたちに混ざりながら、楽しそうに遊んだ。
ボールを横取りすることもなく、ボールを拾った犬と一緒に楽しそうに戻ってくる。
そのうち、彼女は自分の俊足を誇るかのように、よその犬に自分を追いかけるよう誘うことが多くなった。
当時クリスは新参者で、どちらかと言えば他の子達は年上。
しかもボーダーコリーの足にかなう犬はめったにいない。
クリスはますます調子に乗って、風のように走った。
そしてそれは1歳を過ぎても続いた。
そんなある日のこと、クリスと公園を歩いていたら、若いアイリッシュセターが通りかかった。
クリスがその子をやり過ごすわけが無い。
さっそく、
「ねぇ、追いかけっこしない?」
「するする!」
そして2頭は仲良く走り出した。
クリスは風を切って走る。
そしてその後ろをアイリッシュセターが・・・。
ところが、クリスが「追いつけないでしょう?」振り返ると、
そこにアイリッシュセターはいなかった。
「えっ?どこ?」
周りを見回してクリスはハッとした。
なんとその子はクリスを追い越して前方で笑っていたのである。
・・・・・・。
そしてその日からクリスは追いかけっこをしなくなった。
よほどプライドが傷ついたのだろう。
もちろん、それからもよその犬と喧嘩することはない。
っが、なぜかそれからのクリスはちょっぴり小うるさいオバサンになったような気がしてならない。
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