「犬バカと呼んで」散歩はじめ(#029)
ワクチンも済んで、クリスが散歩に出られるようになった。
家の中で、首輪やリードをつけて歩く練習をしていたが、いざ外に出ると、今まで慣らしてきたはずの音に驚いて、思うように歩かない。
私道の中でははしゃいでいるが、一歩表通りに出ると、車が通るたびに、「なに?なんなの?」とジタバタ。
抱かれて歩いていた時とは大違い。
ビビリまくりのお嬢さんは全く前に進めなかった。
仕方なく、しばらくは私道のみで歩く練習。
私道でまともに歩けるようになってから、表通りに出ることにした。
クリスが散歩できるようになって私が第一に考えたのは、フレンドリーなボーダーコリーにすることだった。
それは、人に対しても、犬に対してもである。
なぜそれを一番に考えたかと言うと、クリスが我が家に来る前近所で出会ったボーダーが人を怖がり、飼い主と会話しようとすると、すぐ飼い主の後ろに隠れてしまって、決して出てこようとしなかったからだ。
クリスのかあさんは、私が一目ぼれするほどのフレンドリーなボーダーコリーだった。
クリスにも是非そうなって欲しい。
人間社会で、特に東京で暮らしていくには必要なことだ。
そこで私はこのかわいい時期を逃さず、誰にでも触ってもらえるよう、「かわいい」と言ってくれる人に出会ったら、
「ご挨拶は?」と言いながらクリスが自分から近づいていけるよう促した。
おかげで今となっては、やさしそうに声をかけてくれる人には、まるで磁石にでも引き寄せられるように、足元にぴったり寄り添う癖がついてしまった。
道端で初めて会った人と、犬の話で盛り上がって立ち話をしていると、彼女は「またか。長くなりそうね。」とこちらを一瞥して伏せているが、自分の話になると、ちゃんとその人の側に行って、さりげなくアピールする。
ピッタリ寄り添ってされるがままになっていると、さすがに初対面の人も、お世辞かもしれないが、「可愛いですね。」と言って彼女を撫でてくれる。
すると、彼女はさらにベタベタ。
ところが、何年か前、訓練競技会の競技中に、私ではなく傍にいた審査員の横に座ってしまった時はびっくりした。
私はあわてて、「今はご挨拶しなくていいのよ!」と言ったが、さすがに審査員には苦笑いされた。
なにごともほどほどが良いようだ。
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