「犬バカと呼んで」留守番は退屈。(#026)
クリスがある程度家の中のこともわかり、生活のペースもわかってきた頃、私は以前からやっていたテニスにまた出かけようと考えた。
最初から長時間留守にするのは心配なので、初めは5分、10分と、すこしずつ家を空ける時間を延ばして慣らすことにした。
ところが、時間が延び始めると決まってサークルの中に敷きつめてあったトイレシーツを引っ張り出している。
私が家にいる時はそぶりも見せないので、いつどうやって始まるのかわからない。
退屈の気晴らしとしか思えないが、現行犯ではないので叱れない。
家の中で留守のふりをするにはボーダーは頭が良すぎる。
ある日外出先から戻った私は、居間中にシーツの白い紙が綿のように敷き詰められているのを見てさすがに切れてしまった。
そしてやってはいけないことをした。
彼女のお知りをバンとたたいて、叱ったのである。
案の定彼女は私への不信感あらわにし、ピアノの下に入ってしまった。
そしてその日は決して私の傍に寄ろうとしなかった。
夕食も食べなかった。
これはまずい。
さすがに夜は一緒に寝室に上がってきたが、いつもとは違う。
なんとかこの関係を修復せねば。
そこで、翌日少しだけ家を空け、何もしていなかったクリスを大げさに褒めた。
その後も、出かけるときと同じ状態であればクリスを褒め、シーツが散らばっている時はがっかりしたように「あ~ぁ」とだけ言うようにした。
すると彼女は「あ~ぁ」を聞くとコソコソ尻尾を丸めながらピアノの下で小さくなるようになった。
これを何度か続けているうちに、家に帰っても何事も無かった日が続き、ペットシーツ遊びも卒業したかと思ったある日のこと、家に帰った私は愕然とした。
居間のど真ん中に、くちゃくちゃに丸まったトイレシーツがおかれていたのである。
この頃は、クリスもだいぶ大きくなってトイレの間隔が広くなっていたので、私はサークルを片付け、部屋の隅にトイレシーツを置いていたが、出かける時はシーツをソファの下に隠して行くことにしていた。
とりあえず目につかなければ、悪戯をする可能性も低いと考えたのだ。
すると確かに悪戯をしなくなった。
私の不在中はソファの上で惰眠をむさぼっているようである。
(家に帰ると、大体ソファの上で伏せている。)
安心していた矢先のことだったので、部屋の真ん中置かれたシーツを見たときはちょっと声が出なかった。
それでも平静を装いながら、「あ~ぁ」と言おうとした時、なんとくちゃくちゃに丸まったシーツの中からウンチが出てきたのである。
おそらく、一人で留守番をしている間にトイレに行きたくなって、とりあえずソファの下からシーツを引っ張り出し、その上で用を足してからそれを隠そうと丸めたに違いない。
彼女がどうやってシーツの中にウンチを隠したかは定かでないが、とにかく結果的には周りを汚すことなく、無事トイレを済ませたのである。
後にも先にもこのような行為はこれ一回きりだったが、どんな風に成し遂げたのか想像すると可笑しかった。
それを、嫌がらせととる人もいるかもしれない。
でも、
でも、
クリちゃんってなんてすごいの?
「犬バカ」はもう止まらない。
つづく。
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コメント
なんてすごいんだ~!
って思う僕も、やはり犬バカですね(笑)。
投稿: がぶつかい | 2008.11.16 23:30
★がぶつかいさん
いらっしゃいませ♪
私も本当にびっくりしました。
隠しカメラでもつけておけばよかったと・・・。
投稿: クリまま | 2008.11.17 15:46