「犬バカと呼んで」スコットとの別れ(#020)
クリスが生まれてからは休みのたびに会いに行った。
見に行くたびに大きくなるクリス。
目が開き、少しずつ私たちを認識していくクリス。
スコットと戯れるクリスの様子が目に浮かぶ。
ところが、クリスが元気に育っていく一方で、スコットが以前から患っていたヘルニアが悪化し、とうとう手術をしなくてはいけなくなってしまった。
手術はなんとか成功したのだが、翌日急変し、スコットはクリスが来るのを待たずに逝ってしまった。
クリスが我が家に来るまであと20日だった。
長年公園で一緒に遊んだ仲間達が最後のお別れにきてくれた。
スコットが出会わせてくれた友である。
翌日私の運転を心配した母と一緒にスコットを荼毘に付した。
しかしそれからの私は、スコットを乗せて大学病院を往復した日々が車に乗るたびに思い出され涙がとまらない。
楽しいことや辛いこと、スコットと暮らした11年間が毎日蘇って眠れなかった。
そして私はどんどん落ち込んで行った。
どうすればいいのか自分でもわからなかった。
毎日が無為に過ぎていった。
そんな私になんとか明日への希望をくれたのがクリスだった。
どんなに辛くても、彼女は我が家にやってくる。
日々彼女のための準備に追われている間に、少しずつだがスコットだけのことを考えている時間が少なくなってきた。
無理に考えないようにするのではなく、忙しさの中で、彼のことを考える時間が自然と少なくなっていったのだった。
クリスの存在が少しずつスコットの空けた穴を埋めていってくれたようである。
こうして私はなんとかひどいペットロスを回避することができたのだった。
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コメント
ただただ...運命のようなものを感じます。
投稿: ilife320 | 2008.11.10 09:37
★ilife320さん
いらっしゃいませ。
そうですね。
もし、クリスのことを決めずにスコットだけが逝ってしまったら、
新しく家族を迎えようという気持に切り替えるにはとても時間がかかったと思います。
スコットはきっとわがままクリスのお相手が大変だとわかっていたのかも・・。
投稿: クリまま | 2008.11.10 14:56
最近イヌネタにはめっぽう涙もろくなってしまったせいもあり、
人前で(会社の事務所)読むのはとても大変でした。
そんなドラマのようなこと、あるんですね。
会わせてあげたかった。
その想いは、あんなに僕になついていた、がぶつかい子の実家の先代の最後の瞬間に、僕の判断ミスで立ち会えなかった想いと重なってしまいました。
投稿: がぶつかい | 2008.11.13 22:55
★がぶつかいさん
いらっしゃいませ♪
そうなんです。
あともう少し頑張っていてくれればと思うと
残念でありません。
でも、その時友人は、
「スコットにはちゃんとわかっていたんだよ。
そろそろ世代交代のときだって。」
でも、やっぱり悲しい・・。
投稿: クリまま | 2008.11.14 06:34
慰めや励ましの言葉は、
その言葉自体もそうですが、
かけてくれる人がいるという時点でありがたいですよね。
でも本当の意味で癒されることはなかなかないとように思います。
イヌによって感じた心のキズは、イヌにしか癒せない。
自分もそうですが、初めてのイヌを亡くしたがぶつかい子の両親を見ていて強く思います。
もう少し言うと、ペットロスの定義は難しいですが、
「本当はペットロスは治らない。でもそれでいい。」
と全てを受け入れてなお、今いるイヌとともに精一杯生きて行くある方の姿にも、とても共感していたりします。
クリスさんがいて、よかったですね。
僕もがぶには本当に感謝しています。
投稿: がぶつかい | 2008.11.14 15:19
★がぶつかいさん
いらっしゃいませ♪
個人差はあるものです。
早くに立ち直れる場合もあれば、
一生犬は飼わないと決める人もいます。
でも、時が経てば、少しずつ薄れていくものと
私は信じています。
私はクリスのおかげで最悪の状態から抜け出ることができました。
投稿: クリまま | 2008.11.14 21:25