「犬バカと呼んで」悪魔のささやき(#016)
スコットは7歳を過ぎた頃から、だんだんと体の衰えが見え始めた。
7歳と言えば、ちょうどポリーがフィラリアで死んだ歳である。
大型犬の節目とも言われる7歳。
そんな頃、多頭飼いをしている友人に、もう1頭飼うと刺激になって、若返るんじゃないかとアドバイスされた。
そうか!
その手があったか。
そうは言っても、私は特に真剣になって2頭目を探していたわけではなかった。
ところが、ある日ペットショップにスコットのフードを買いに行って出会ってしまったのである。
それは売れ残っていた黒白のハスキーだった。
当時はもうブームも大分下火になってきて、街中でハスキーの仔犬を見かけることも少なくなっていたので、その子を見たときは何も考えず抱かせてもらった。
もちろん飼う気はなかった。
「かわいい!!」
ただそれだけだった。
何しろスコットが我が家に来たときはすでに7ヶ月。
かわいい仔犬の時期など見たことがなかったからである。
そして私はその店を後にした。
ちょっぴり後ろ髪は引かれていたが、「飼いたい病」にはかかっていなかった。
それから2週間ほどして、買い物が帰りに私はまたその店を覗いてしまった。
悪魔がささやいたに違いない。
すると、その子はまだそこに残っていた。
黒い隈取がますます濃くなって、かわいさが増している。
店の人に聞くと、まだ引き合いはないという。
だからって、我が家で引き取る必要はない。
でも悪魔がそっと耳元で囁いている。
ペットショップで売れ残った仔犬がどうなるか・・・。
つづく。
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