「犬バカと呼んで」スコットの恋(#015)
スコットが6歳くらいだったろうか、私はハスキーの女の子を持っている人とテニスを介して知り合った。
たまたま家も近かかったので、一緒に散歩に行く機会も増え、スコットも彼女との散歩を楽しんでいた。
知り合った頃の彼女はまだまだピチピチのギャルだったが、数年後彼女の飼い主さんが彼女の仔犬が欲しいと言うことになり、正式なお見合いの運びとなった。
場所は我が家の庭である。
ところが、『お見合い』と言っても、私もお相手の飼い主さんもずぶの素人。
さてどうすればいいのだろう。
なんとも無鉄砲な話である。
しかし、
「犬には本能があるんだから大丈夫。」
なんていういい加減な理論の元お見合いが始まった。
スコットはルンルンである。
自分のテリトリーに若い彼女が遊びに来てくれて、二人で庭を走り回る。
それこそ、
「うふふふっ♪」
「あはははっ♪」
の世界。
ところが、いざスコットが愛のささやきを始めると、お嬢さんは
「おじさん、何考えてるのよ!」
と一喝。
情けないスコットおじさんは私に助けを求めてきたが、こちらもどうしていいかわからない。
とりあえずお嬢さんが逃げないように押さえてみたものの、パワフルなお嬢さんはやっぱり、
「やめてよ~!」
と振り返ってガウガウ。
すっかり気落ちしてしまったスコットは結局『いい人(犬)』で終わってしまった。
スコット老いらくの恋であった。
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