「犬バカと呼んで」スコットの性格(#013)
スコットはオスにしては大人しい方だったと思う。
確かに家の中での悪戯や逃走癖はあったが、彼を良く知っている人たちはみんなそう言ってくれた(多分お世辞ではなく)。
若い頃でも、道端でオス犬と出会って喧嘩になったことはなく、女の子に対してはどんなに叱られてもしもべ状態。
もちろん大人や子供に限らず、人に対してもとても従順だった。
しかし、最初からではなかった。
実は、我が家に来て間もなくの頃、息子がスコットの食事中、フードボウルに手を突っ込んで唸られたことがあったのだ。
幸いその時元夫も私も傍で見ていたので、元夫がすかさず「イケナイ」と言いながら、スコットをゴツンとやったのだ。
スコットにはかなりの不意打ちに違いなかっただろう。
食事を取られそうになったと思ったら、どこからかゲンコツが飛んでくる。
しかし、その一瞬の間に、スコットは全てを理解したにちがいない。
スコットが我が家に来たとき息子は2歳前。
大きな動くおもちゃがやってきたぐらいにしか思っていなかったので、スコットに抱きついたり、のしかかったり、ひっぱったりといろいろやった。
しかし、食器の件以後、虹の橋を渡るまで、彼は息子を含め、ただの一度も人に対して歯を剥いたり、唸ったり、ましてや噛むといった行為はなかった。
そのせいか、私はハスキーという犬種自体が元来大人しいものだと思っていたので、その後ハスキーブームが訪れたとき、よそのハスキーに手を出して2度も噛まれそうになり、ようやくハスキーがみんな大人しいのではないと知ったのであった。
(かなりのおバカかも・・。)
ハスキーブームが終盤に差し掛かったとき、テレビかなにかで、ある人が「ハスキーはバカだ。」と言ったことがある。
しかし私はそうは思わない。
確かに後に出会うことになるボーダーコリーのもの覚えの良さには驚嘆せざるを得ないが、ハスキーがバカなのではない。
スコットは我が家に来る前すでに自転車走行での散歩を身に付けていたので、私が自転車で散歩に行ってもスコットが原因で転倒させられることはなかった。
ところが、歩いて散歩に行くとなると、若きオスのパワー全開で、あっちも気になる、こっちも見たいと、とてものんびり散歩できる状態ではなかった。
そこで、当時犬の訓練に全く知識の無かった私は、ペットショップを営んでいた知人のだんなさんが訓練士と聞いてしばらくお願いすることにした。
週に2回、2ヶ月間スコットは訓練士さんと散歩し、残りの1ヶ月は私も一緒に練習した。
それ以後、子供が小さく、スコットのために余分な時間を割いてやることが出来なかった私は、彼にそれ以上のことを教えることはなかったが、彼は一度教わったことを終生忘れず、その後小学生になった息子が、無理やり彼を連れて一人で散歩に行ってしまったときも、一切引っ張ることなく(私は心配で後ろから隠れてついていったのだが)、無事家まで帰ってきたのだ。
もしハスキーをバカだと言う人がまた現れたら、私は「犬がバカなんじゃなくて、飼い主のほうだと思いますけど。」と言ってやろうと思っている。
スコットは飼い主がおバカでも、ちゃんと本分をわきまえていたのだから。
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