子犬の社会化

2025年5月29日 (木)

子犬の社会化

子犬の社会化が重要ということを全く知らない飼い主さんはほとんどいないと思いますが、どう重要なのか、実際どのようにすればいいのかを完璧に理解している人はまだまだ少ないようです。

実は、本来子犬の社会化はブリーダーさんのおうちにいるところから始めてほしいと思っています。
しかし、意識が高いブリーダーさんでなければ、到底そこまで望むのは難しいかもしれません。

子犬を育てるいい環境と言うと、自然豊かな場所を想像しがちです。
もちろん、広いバックヤードや、自由運動ができる場所は重要ですが、その環境にプラスして、子犬の受容性が高いときに、敢えて生活音や人間社会の騒音にさらしてあげることが子犬のこれからを考えると不可欠です。

かつて知り合いのブリーダーさんは、生後1か月を過ぎたころから車に子犬たちを乗せて、幹線道路の片隅で騒音や様々な人間に馴らすというひと手間をかけていました。

子犬はブリーダーに残る子以外は必ず新しい家庭のもとに旅立っていきます。
どんなところに行くかは全くわからないので、どこに行ってもやっていかれるようなサポートが大事ですね。

かつて、郊外のブリーダーさんからやってきた子犬を散歩に連れ出そうとしたところ、まったく動けず、玄関からも出られないとご連絡をいただきお伺いしましたが、子犬が玄関から門まで自力で歩けるようになるまで1週間。
門から出て歩き始めるまでにさらに数レッスン。
実際門から出て歩けるようになっても、車の音やバイクの音が聞こえるたびにフリーズし、オヤツも口にできないほどでした。

ご近所の公園にたどり着くまで1か月以上かかったような記憶があります。
もちろん、たどり着けても、自信を持って歩いているわけではありません。
しかし、飼い主さんも頑張ってサポートしてくださったので、その子は普通の生活ができるまでになりました。

個体の性格にもよりますが、小さいころから経験値を増やしていくことが重要です。

もちろん、大事な時期に社会化がうまくいっていなかったとしても、犬は日々成長しているので、犬のペースに合わせて、少しずつ馴らしていくことで、犬の「大丈夫」を増やしてあげることができます。
焦らず、根気よく。ですね。

ちなみに、我が家の見習いは、生後2ヵ月半のとき、公園のスケボーコーナー脇で馴致。

時折、自転車のお兄さんや騒ぐ子供の声に耳を澄ましながらも、

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持って行ったオモチャで遊ぶ余裕もあり。

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今でもオモチャには目がありません。

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2025年5月22日 (木)

子犬の選択肢を尊重する

生後2ヵ月前後で迎えた子犬は、怖いものがあってもすぐに受け入れられるという特性がありますが、その好奇心が次第に警戒心に変わってくる時期を迎えるようになります。
それがちょうどワクチン接種が終わった子犬の成長期と重なり、目にするもの全てを警戒し、後ずさりしたり、吠えたりするという新たな行動を見せるようになるわけです。

そんなとき、ついつい飼い主が言ってしまう言葉が「大丈夫」です。

人間はそれが何かを知っているので、「なんでこんなものを怖がるの?」という気持ちになって、こんな言葉が出てしまうわけですが、当の本犬は若干および腰になっているので、それを無理やり引っ張って対象物に近づけるのは禁物です。

ここで犬に学んでもらいたいのは、自分から近づく勇気と、その結果なんでもなかったと確認することです。

そんな成長過程の愛犬には、人間側の「待つ」というスタンスで見守ってあげることが大切です。

無理やり引っ張っていくと、飼い主への信頼度も下がりますし、自分で確認して自信を持つというプロセスを飛ばしてしまいます。

飼い主が少し対象物に近づいてみることで、子犬の背中を押すこともできますが、決して引っ張らないこと。

そんなときに必須なのが、少し長めのリードです。

短いと犬の逃げ場をなくしてしまいますし、飼い主が対象物に近づこうとすると、犬を引っ張ってしまうことになります。

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気になるものは自分で確かめられるように、時間とスペースを用意してあげることが大切ですね。

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2025年5月21日 (水)

ディストラクションは外だけではありません。

犬にとってのディストラクションは様々というお話はよく書いています。
ポジティブなディストラクションもあれば、ネガティブなものもあります。

家の中で出来ることが外で出来ないことは、外からの刺激に犬が負けてしまうからです。
そうならないために、家の中で出来ることをまず鉄板にすることが重要です。

家の中は刺激が少ないので、犬の成功率は高くなり、犬の学習も進みます。

家の中で出来たからと言って外ですぐ出来るようにはならないということは何度も書いていますが、実は家の中にも様々なディストラクションを設定することができるので、今日のように暑くて外で練習できないときは、家の中でディストラクションを設定して練習することも可能です。

ディストラクションは、食べ物やオモチャでもいいですし、あるいは同居のほかのご家族でも大丈夫です。

ということで、今日のK君のレッスンでは、飼い主様が交代でディストラクションになりながら、基本トレーニングをやってくださいました。

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ディストラクションへの対処法が家の中でも練習出来れば、外での対処もスムースに出来るようになるでしょう。

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2025年5月19日 (月)

飼い主さんを一番にする

いつも書いている、「家の中では出来るのに外では出来ない」という状況では、犬が外の刺激に負けてしまっていることが原因になっていることが多いものです。

家の中と異なり、外には様々な刺激が満載です。
それは、目から入るもの、耳から入るもの、鼻から入るものなど、犬の五感を刺激するものばかりです。

そのため、いわゆる「社会化」と言われる「馴らす」工程が犬育てには欠かせません。


さて、今日は犬に対して過剰に反応してしまうLさんのプライベートレッスンを公園で行いました。
Lさんの反応はポジティブなものですが、一緒にいる飼い主さんの声が届かないぐらいの興奮は避けたいもの。

日常生活のお散歩コースは道も狭く、犬と遭遇する機会が想定しづらいので、犬との距離が取りやすい公園で練習することにしました。
今回は2度目で、その間にもご家族と一緒に公園体験をしていただいています。

犬たちが吠えながら走り回るドッグランの刺激はあまりにも強すぎて10メートル離れたぐらいでは全く効果が得られないので、50メートルぐらい離れた場所でまず遊ぶことから始めていただきました。

遊びは、Lさんの好きなオモチャを投げて、取ってきてもらうというもの。
犬はそもそも走って追いかけることが好きですが、それを公園でやれるかどうかが大きなポイント。

最初はドッグラン内の犬たちの動向が気になっていたLさんでしたが、少し距離を取ったことで、飼い主さんが投げたオモチャを勢いよく取りに行き、持ってきてくれるようになりました。
しかし、Lさんがオモチャを咥えたからと言って、その場で呼ぶだけではなかなか戻ってこられません。
飼い主さんと離れてオモチャを咥えた瞬間、周りが気になってしまったりするので一瞬フリーズしてしまいます。
そうならないためには、Lさんがオモチャを咥えた瞬間、飼い主さんが反対方向に向かって走りながらLさんを呼ぶこと。

飼い主さんが動くことで、Lさんは今度は飼い主さんを追いかけたい気持ちになるので、フリーズする暇がありません。

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ちゃんと戻ってきてくれたら、また引っ張りっこで遊びます。

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すっと以前、「犬のトレーニングでは、ハンドラーが犬の3倍以上動かなければいけない。」と教わったことがあります。

人が手抜きしてじっとしていては、犬も動いてはくれません。
飼い主さんと楽しく遊ぶことが飼い主さんへの意識を高めることになり、ひいては他犬に反応するよりも、飼い主さんとの交流を楽しめるようになっていきます。

犬と遊ぶのが悪いわけではありません。
犬同士の遊びも楽しいけど、一番は飼い主さんになるように人間も努力が必要ですね。

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2025年5月12日 (月)

犬の本能を消すことはできません。

ボーダー・コリーが動くものに反応しやすいことを知っている人は少なくありませんが、どれくらい反応するかは実際にボーダー・コリーと暮らしてみないとわかりづらいものです。

しかし、それを知っていることで、子犬を迎えて自力で散歩に出られるようになる前から、様々な刺激を見せても反応しないことを教えていくというポジティブトレーニングによって、ある程度コントロールできるようになります。

子犬の頃からの抱っこ散歩などによって、幸い我が家の犬たち(6頭のボーダー・コリー)の中で、車追い、バイク追い、自転車追いに目を血走らせる犬は1頭もいませんでしたが、1頭だけ意図せずにスケートボードに反応するようになってしまった犬がいて、耳が遠くなるまではコントロールにとても苦労したことを覚えています。

いずれにしても、動体視力のいい犬たちなので、いちいち反応しなくてもいいことを繰り返し教えていく必要があるのですが、実生活では、先ほどのスケートボードのように、意図しないこともたくさん起こるので、犬はやはりその刺激にリアクションしてしまうことがあります。

例えば、猫や鳩などは、散歩中も普通に遭遇します。
しかし、どこで遭遇するかはわからないので、練習することができません。

犬に過剰反応する場合は、ドッグランなど犬が集まる場所で環境設定しながら練習することはできますが、さすがに猫や鳩が集まる場所はそうそうありません。

たとえ過剰反応したとしても、すぐにリカバリーできるようにサポートしてあげることが重要です。


さて、我が家のお向かいには今年小学校にあがったお嬢さんがいます。
道端でご挨拶する程度の関係ですが、朝犬たちと散歩に出ようとすると、ちょうどお向かいさんの玄関ドアが開くときがあり、見習いはその都度びっくりして吠えてしまいます。
環境の変化に弱い見習いです。

2~3年前は、見習いが興奮して吠えたときにお嬢さんを泣かしたこともありました。
誰だって吠えられるのは嫌ですよね。

先日もちょうど玄関を開けた時、お向かいも登校時間で、ばったり顔があって、見習いはまた吠えてしまいました。
すかさず、「ごめんなさいね。」と声をかけると、お嬢さんは
「犬は吠えるものだから仕方ないわ。」という大人な返答。
毎回泣いていたのに、大人になられましたね。

だからと言って、吠えさせるわけにはいきません。

今日は雨上がりだったので、家の前で練習をしていたら、ちょうどお向かいの玄関が開く音がしました。

当然見習いも気持ちがそっちに行きました。

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しかし、「アトヘ」と声をかけたら、すぐに脚側停座に。

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吠えずにやり過ごすことができました。
当然ご褒美のオヤツはもらえます。

吠えないでいられる回数を増やしていくことで、見習いは向かいの家から人が出てきても、いちいち吠える必要がないことを学んでいきます。

罰を使わないトレーニングでは、一度で犬に覚えさせることはできませんが、好ましい行動を繰り返してもらうことで、それが習慣となっていきます。

忍耐と一貫性が不可欠ですね。

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2025年5月 7日 (水)

「大丈夫」を増やすには。

愛犬の様々なお困りごとのひとつに「他犬への過剰反応」というものがあります。

散歩中ほかの犬を見ると吠えたり、じたばたしてしまうような犬のことです。

吠える理由はいくつかあるというのは、以前から何度も書いていることですが、理由がなんであれ、「吠える」という行動は興奮を意味しているので、犬は平常心が保たれていないことになります。

これはトレーニングでなんとかなることではありません。
この場合の吠える理由は犬の「感情」が原因だからです。

「あの犬と挨拶したい。」
「あの犬は怖いから、こっちに来てほしくない。」
「あの犬は気に入らないから、文句を言いたい。」

これらはすべて犬の「感情」が発端となっているので、トレーニングで何とかしようと思っても難しいのです。

では、どうするのか。

「脱感作」という方法を使うのが一般的です。

「脱感作」とは、「ある刺激に対する感覚の過敏性を減らすこと、またはその方法」とネットで検索すると出てきます。
つまり、ポジティブであれネガティブであれ、犬にとって刺激になっているものに対する過敏な感情を少しずつ減らしていくために、刺激に少しずつさらして馴らしていくということを繰り返し行っていくことです。

ここで大事なのは「少しずつさらす」ということで、決して急に刺激をたくさん与えることではありません。

例えば、他犬が怖くて吠えてしまう犬の周りに沢山の犬を連れてきたら、おそらく固まってしまうでしょう。
そうならないために、安全が確保できる距離で他犬を目視させることから始め、少しずつ距離を縮めていくようなシチュエーションを繰り返していくことで、次第に他犬への過剰反応を減少させていくというものです。

飼い主が隣で「大丈夫だから」と繰り返すよりも、犬が自分で「大丈夫」と確信して、自信が持てるようになることが重要です。


さて、今日は久しぶりに犬たちと公園に行ったので、帰り際に見習いのディストラクション練習をしました。

いつもの練習場所は大分馴れてきたので、他犬反応も少なくなってきましたが、たまにしか行かない公園は、出遭う犬もほぼ初めてなので、いつもの「挨拶したい!」が出やすくなります。

そこで、ドッグランの脇にある駐車場の横で、ドッグランの犬たちを横目に、加えてドッグランへ行き来する犬たちがそばを通っても平常心を保つ練習をしました。

犬に近づきたい気持ちがあっても、ハンドラーのお願いしたキュー(伏せ)をちゃんとしていることがミッションです。

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よく、犬が通るときにオヤツなどのトリーツを見せて、犬が他犬を見ないようにさせる人がいますが、それでは「脱感作」になりません。
他犬がいても「大丈夫」を作るには、犬にきちんと他犬を認識させることが不可欠だからです。

見習いは他犬を見ても、じっとしていられたので、ご褒美にオヤツをもらうことができました。

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3才半にして、ようやく。
まだまだ伸びしろだらけの見習いです。

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2025年4月27日 (日)

犬育て:「出来た!」と油断しない

子犬が飼い主の後をくっついて歩くのは自然なことです。
なぜなら動くものを追いかけていく本能的なものがあるからです。
しかも、家の中は外と違って刺激も少ないので、飼い主がそばにいれば一点集中で追いかけてきます。
なかには、トイレやお風呂までストーカーのように付いてくる犬もいます。

子犬が外に出るようになっても、まだまだ世界が狭いので、飼い主の横や後ろなど離れないように付いてくると、一瞬、「この子天才」と思われがちです。
だからと言って放置しておくと、次第に外界に興味を奪われ、気づいたら、地面に一点集中したり、人や犬、カラスやハトなど、追いかけてほしくないものにばかり気がいってしまい、飼い主の言葉が耳に届かなくなるということもよくある話。

自分からついてきてくれる時を最大限利用し、その行動を定着させ、習慣にしてあげることで、飼い主へのフォーカスもあがるようになります。
油断しないことが大事ですね。

今日はDogLifeDesignさんでのグループレッスンがありました。

最近参加し始めたMさんはまだ子犬。
しかも、ちょっと警戒心が出てきているところなので、飼い主さんのそばをあまり離れません。

飼い主さんが動けば、こんな風について歩きます。

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そこを油断しないで、ヒールウォークを習慣にしていくと、お散歩でも声が届きやすくなります。

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飼い主さんのそばにいると楽しいことが起きると伝えていくことが大事ですね。

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2025年4月20日 (日)

犬のきもちを無視しない

犬のボディランゲージという言葉を知らない人は少ないと思いますが、
ボディーランゲージひとつひとつの意味をきちんと理解している人は多くはありません。
ましてや、犬と暮らしていない人は知る由もないでしょう。

犬はボディランゲージや声、行動によって自分たちのきもちを表しているわけですが、
「唸る」「吠える」「歯あて」「咬む」という行動は常にネガティブに捉えられがちです。

唸ったり、吠えたり、歯をあてたり、咬んだりする行動がすべてアグレッシブ(攻撃)とは限りません。
どちらかというと「防御」の結果であることが多いのが現状です。

よくある犬と子供の間で起きる交渉事件。
飼い主は「大人しい犬なんです。」と言っていることが多いです。
普段は大人しいのに、なぜ咬んでしまったのか。
そこに、犬のきもちは見過ごされていなかったのか。

何をされても耐える犬はいますが、すべての犬が同じではありません。
中には閾値が低く、すぐ限界に達してしまうこともあるでしょう。
その時犬が発したサインを見逃していると、犬はサインを出さずに「咬む」行動に出るようになります。

小さい唸り声を無視したり、こっちに来ないでという「吠え」を無視したりしていると、その行動を飛ばすようになるのは犬が学習する動物だからです。

自分の家に犬がいると、ついついよその犬も自分の家の犬同様、大人しくて、黙って撫でさせてくれるだろうと思っている人は少なくありません。
ましてや子供であれば、不用意に近づいていくこともあるでしょう。

人間でも、知らない人が急につかつかと近づいてきたら恐怖を感じませんか?

かつてボーダー・コリーの母子3頭で暮らしていた時の話です。
公園のベンチで犬友達とまったり歓談していたら、お散歩中の若い人たちが寄ってきて、急に我が家の息子犬の耳をガシッとつかみました。
私も犬もびっくりしました。

話を聞くと、若い学生さんがボランティア活動か何かで、障害を持っているお子さんたちのエスコートをしていたようです。
犬の耳を掴んだのは障害のあるお子さん。
エスコートしていた学生さんは必死にその手を開こうとしましたが、できませんでした。

私は自分の犬をひたすら励まし、犬も困惑した状態で私を見ていました。

しばらくして、お子さんが手を放し事なきを得ましたが、こんなことをされてどんな犬も黙っていられるわけはありません。
たまたまその犬はおっとりした性格で、人間への信頼度が高かったので、反撃しなかっただけです。

昨日のしつけ教室で、ご参加者の愛犬の様子を確認するために、私が犬に近づくことがありましたが、基本的に初対面の犬に対してぐいぐい近づいていくことはありません。
犬だって知らない人に近づかれたら不安を感じることがあるからです。
中には、どんな人にもウェルカムでフレンドリーなタイプの犬もいますが、どの子もそうではありません。
一見フレンドリーに見せて、実はちょっと怖がっていたりします。

そこで、ちょっと警戒している犬たちに対しては、正面からではなく、斜に構えて近づいて、犬と同じ目線で、まずにおいをかいでもらったりすることから始めます。
そのとき信頼を得られればすぐ次につながりますが、警戒心がなかなかとけない場合は無理はしません。
オヤツが仲立ちになることもありますが、常にそうとも限りません。
したがって、急にリードを引っ張ったりもしません。
犬に来るか来ないかの選択肢をあげます。
そうでなければ、犬のきもちを無視した押しつけになってしまうからです。

今朝は散歩の途中で遭遇した若い男性が、座っていた見習いを見て、「かわいい!」と言いながら、最初は普通に撫でていたのですが、何を思ったのか急に見習いのマズルを掴んで自分の顔を寄せました。
いやぁ、それは危ないなぁ。
私はさりげなく、「あんまりしつこいと咬むかもしれませんよ」とお伝えしました。
もちろん、一方では見習いに「アーちゃん、おりこうさんだねぇ。」と耐えていることを褒めてトリーツを渡し、その男性には「ありがとうございました」と言ってその場を後にしました。

離れた途端、見習いだけでなく、一緒にそばにいたアシスタントも体をブルブルっと震わせたのは言うまでもありません。

相手のあることなので、杓子定規に「触らないでください!」とは言えないのが人間同士のコミュニケーションですが、犬を犠牲にすることで結果お互いが傷つくのはよくありません。

普段危なくない犬であっても、追い詰められたら自分を守ろうとする行動をとる可能性があることを、知っておくことも大事です。
犬同士だけでなく、対人においても3秒ルールは適用したいところ。
犬を追い詰めていないか、行動を見直してみましょう。

先代のアシスタントは、公園で知らない子供にこんなことをされても気にしないタイプの犬でした。
興奮するわけでもなく、穏やかに受け入れる。
いわゆる社会性の高い犬でした。

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それはもちろん個体の性格もありますが、彼女が育った環境に、分別のあるお子さんがいらしたことも大きな要因だと思っています。

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2025年4月18日 (金)

馴れることが大事

犬の思春期の話はよく書いていますが、人間と同様、思春期の犬たちはいろいろなものに感情的になってしまいがち。
そのままにしていると、場合によっては他犬に対して過剰反応が出てしまうこともあるので、成長の過程を注意深く見守ってあげることが大事です。

さて、昨年パピーレッスンで、コミュニケーションの取り方や、基本のおうちのルールの伝え方、お散歩のやり方などをお伝えしたLさんが思春期を迎え、新たな課題が出てきたということで、1年ぶりにまたレッスンさせていただくことになりました。

レッスン課題は他犬との遭遇時の対応。
社会化出来ている犬というのは、視界に他犬が入っても平常心を保てる犬です。
怖がって吠える、遊びたくてバタバタするというのは社会化不足。
もちろん、いろいろな理由があって、犬が苦手な犬は少なくありませんが、少しずつ犬たちが自信をもって、他犬がいても気にしないでいられるようにサポートしてあげることが大事です。

最初は、場所馴らしから。

数えるほどしか来たことがない公園なので、リードを緩めて、自分で「大丈夫」を確認してもらえるようにします。

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多少腰が引けていますが、自分でチェックしに行っているので、リードを緩めて待ってあげます。

その後は、走り回る犬たちを遠めに見ながら、他犬を景色の一部にしてもらうためのエクセサイズ。

4本の足にバランスよく体重が乗っていることが大事。

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もちろん、飼い主さんへの意識も大事ですね。

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脱感作と古典的条件付けで、少しずつ「大丈夫」を増やしていきましょう。

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2025年4月15日 (火)

小さいことですが・・。

日常生活の中で、こんなことありませんか?
電信柱を求めて歩いている愛犬にくっついて歩いていたら、犬が電信柱の向こう側に行ってしまい、リードを持ったまま愛犬と生別れになって、電柱にぶつかりそうになった。

もちろん、リードを持った飼い主が犬にくっついて歩いていけば事なきを得るでしょうが、果たしてそれでいいのでしょうか。

電柱のように高いものではなく、低めのガードレールのポールや公園の入り口にあるような車止めなどは、ハンドラーが手をあげてリードがからまないように配慮すればなにもなかったように犬は前に進むことができます。

ではそれでいいのでしょうか。

犬は行きたい方に行き、ハンドラーは犬についてくるものだと犬が思っていることは果たしていいのでしょうか。

個人的には、目前になにがしかの障害物があったとき、それを避けてハンドラーの側に来るように犬たちには教えています。

パピーさんのお散歩レッスンでは、よくこんな生き別れのシチュエーションが起こります。
なぜなら、パピーさんはいきたい方向にあっちこっち走っていくからです。
パピーの社会化では、様々な経験値をあげるサポートをしていきますが、同時にルールも教えていきます。
なぜならパピーの安全を確保できるのは飼い主だけだからです。

そこで、小さいうちから、「そっちじゃなくてこっちよ。」と教えてあげることで、子犬であっても、ちゃんと理解できるようになります。

当然我が家の犬たちも、電柱のみならず、ガードレールのポールだったり、公園の植え込みだったり、勝手に向こう側に行っても、戻ってくるときはちゃんとリードを引っ張ることなく、来た道を戻ってきます。
時に戻りづらい場合は、ヒントをあげることも大事です。

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※こんなときは、アシスタントは私の方に自分から寄ります。

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このルールを犬が理解するのに要する時間は犬の個体にもよりますが、待ってあげることが大事。
ネガティブに叱るのではなく、戻りやすい環境を作ってあげましょう。

さて、今日のオンラインレッスンでは、4歳のT君がトライ。
一度向こう側に行ってしまいましたが、戻り方を教えてあげたら、次回からは向こう側に行かなくなりました。
つまりハンドラー側を一緒に歩くようになったというわけです。
もちろん、シチュエーションが変われば、行動がもとに戻るかもしれませんが、その都度、「般化」してあげれば大丈夫。
ゆっくり伝えていきましょう。

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