犬の行動学

2017年2月26日 (日)

環境省主催シンポジウム

今日は環境省主催のシンポジウムを聞きに行ってきました。
お題は「動物の愛護と管理と科学の関わり」。

C-BARQ(Canine Behavioral Assessment & Research Questionnaire(犬の行動解析システム))の開発者である米国ペンシルヴァニア大学教授ジェームス・サーペル教授と、麻布大学教授の菊水健史氏の講演は興味深いものでした。

サーペル教授の行動調査では40,000頭の家庭犬と30,000頭の作業犬のデータが利用されたとのこと。
科学的調査や分析はデータとして大事な要因です。
それが犬の行動問題を知る手掛かりとなります。

今回は、子犬が母犬の元から離された時期とその後現れる行動問題との因果関係について調査結果を元にお話しされました。

日本でも同様の研究が進められているようです。
是非結果を知りたいものです。

菊水教授のグルココルチロイドと動物の恐怖心との関連性のお話も興味深かったです。

また、今回の主催者である環境省からみえた動物愛護管理室長則久雅司氏からは、欧米と日本の動物に対する根本的捉え方の相違点や、今後日本が向き合わなければいけない様々な問題についてお話されました。


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犬の行動問題について語るとき、ドッグトレーナーの存在も忘れてはいけないように思ったのは、今日たまたま現地で遭遇したトレーナー仲間と私だけでしょうか(笑)。

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2017年2月13日 (月)

環境馴致の大切さ

子犬を育てる時、「社会化が大事」とよく言われます。

「社会化」ってなにをすればいいんだろう。
そんな素朴な疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

将来出会うであろう様々なものや状況を早くから子犬に見せて、馴れさせてしまおうというのが「社会化」です。
別に、後で出会ってから馴らせばいいだろうと思われる方もいるでしょうが、犬には成長過程の中で、周囲の物をストレス無く受け入れられる時期があって、その時が「社会化」に一番適していると言われているのです。


もちろんその時期を過ぎてしまったら、何も受け入れられないのかと言えばそうではありませんが、警戒心が強くなったりして、受け入れるのに時間がかかってしまうのです。

人も、言葉を覚える時、赤ちゃんの頃から耳に入っていれば自然と話せるようになりますが、大人になってから他国の言語を習得しようとするとなかなか難しいものです。


最近、ブリーダーさんの環境が良すぎて、新しい家族の元にやってきた子犬たちの環境馴致がなかなかうまくいかないことがあります。

環境の良すぎるブリーダーさんとは、自然が沢山あって、広い敷地の中を犬たちが自由に走り回って暮らしているような環境です。
そういう環境では、しばしば車の音や人の声、子供たちの騒ぐ声などなど、都会では当たり前の騒音から切り離されていることが多いので、上手に社会化の機会を作らないと、あとあと様々な弊害が出てしまうこともあります。

以前も書きましたが、オーストラリアのブリーダーさんの中には、子犬たちを車に乗せて出かけ、ハイウェイ沿いのサービスエリアなどで外の環境にさらしてみたりしているようです。

大きな音、車やバイクが通り過ぎる様子などなど、様々な物が気にならないようにしてあげられると、犬たちのストレスも軽減できますね。

怖いと感じてしまった後で、怖いものにさらして悪化させるのではなく、許容量がある時期に、少しずついろいろなものに慣れさせてあげると、あとあと犬も人も楽です。

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一年前の見習い君。
カートに乗せられて、あちこち連れまわされてました。

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2017年2月12日 (日)

犬種の特性

犬種にはそれぞれ役割があることは犬に詳しくない人でもご存知だと思いますが、犬種が長年育んできた特性は、時として人と暮らすときの支障となってしまうことがあります。

例えば我が家のボーダーコリー。アシスタントはオーストラリア系のショータイプですが、ボーダーコリーはボーダーコリー。牧羊犬としてのDNAが無いわけではありません。ただ、個体によってそのDNAが強く出るタイプとそうでないタイプがあります。

一方見習いはイギリス系のワーキングタイプ。こちらは最近かじっている牧羊犬のレッスンの様子を見ても、走りたいという欲がつぶさに見えます。

このようなDNAを引き出すか、そのままにしておくかはハンドラー次第ですが、引き出そうとしなくても、とりまく環境によって出てしまうことがあります。

「動くものに反応しやすい」と言われるボーダーコリーのDNA。
知っているか否かによって、心の準備や対応の仕方は変わってきます。


幸い我が家のボーダーコリーたちに車追いなどは全く見られませんでしたが、見習いは今後どうなるかはわかりません。
そうならないように、日ごろから気を付けていることが重要なポイントと言えるでしょう。


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まだまだすべてが未知数の生後3ヵ月半。
いい経験を沢山積みながら、素敵なパートナーになれるようにお勉強中です。


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2017年2月10日 (金)

挨拶させてもいいですか?

今日はパピーさんのお散歩レッスン。
前回のレッスンで、怖かったら隠れてもいいし、気になったら自分から近づいてもいいということを教えてあげたOさん。
今日はアシスタント抜きで公園に行きました。
すると、ちょうどお散歩に来ていた飼い主さんと小型犬が日向ぼっこをしています。

初対面のOさんは、完全に腰が引けた状態ですが、顔はぐぐっと相手の方に近づけようとしています。

私ももちろん初対面でしたので、相手の飼い主さんに「傍に行っても大丈夫ですか?」と確認した後、こちらが子犬であることも伝えました。

すると「大丈夫ですよ。」というお返事だったので、リードを緩めて様子をみることにしました。

Oさんは上手に挨拶が出来、時折後ろに下がるものの、その後も怖がる様子もなく、自然に振る舞っていました。

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「傍に行っても大丈夫ですか?」と相手に聞いてから自分の犬を近づけるのは当然のことですが、こちら側が子犬の場合はそれを伝えてあげることも大事です。

犬によっては、成犬は大丈夫だけれど、子犬はしつこいから苦手という場合もあります。

見習いはもうすぐ1歳3か月になりますが、今まで他犬に攻撃的な行動を取ったことはありません。また今までは自分が子犬だったので、何をやっても大目に見てもらえるという特権がありました。しかし自分が少し大人になってしまうと、相手が子犬の場合、自分が今まで受けてきたような寛容さを相手に持てるかどうかはまだまだ怪しい年頃です。簡単に言うと、「信用出来ない。」ということです。

201702102

この時の見習いは数か月年下の男の子に挨拶されて、ちょっと困惑顔ですが、緊張感は見られないのでそのまま様子を見ました。
この時はドッグパーク内でリードが付いていないため、不要な緊張感が無かったことも、穏やかに挨拶を交わせた要因のひとつです。


見習いもまだまだ成長途上なので、その都度様子をよく観察しながら挨拶させなければいけません。
そんな時指標になるのが首筋から背中にかけての毛の様子です。
もしたてがみのように立っていたら緊張しているサインなので、やさしく呼び戻して褒め、相手の犬と少し距離を取ってあげるといいでしょう。


お互いが嫌な思いをしないように、見守ってあげたいものですね。


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2016年8月 1日 (月)

無理は禁物

我が家の初代ボーダーコリーは人に対しては大変フレンドリーでしたが、
対象には制限がありました。

小学校の高学年以上は全て受け入れていましたが、
それ以下や、犬に馴れている子供であってもしつこい子供にはひとこと「うぅっ。」

一方彼女の子供たちは、どんなタイプでも、人間は全て受け入れていました。


そして、現在のアシスタントと見習い君も人は大好きで、
誰にでも挨拶に行きたくなるタイプ。

特に見習い君には人と犬の区別が無く、
すべて「ウェルカム!」状態。

無視して通り過ぎようとする犬は呼び止め、
視線を向けてくれる人間に対しては年齢にかかわりなく、「撫でてくれ~。」と尻尾をブンブン振り回します。


そんな見習いが、昨日も小学校低学年の男の子相手に
『好き好き』攻撃をしていました。

最初に近寄ってきたのは少年の方で、おうちにも犬がいるそうですが、見習いをはじめて見て
「かわいい!」と言ったのにはびっくりしました。

う~ん。どう見ても、「かわいい」部類ではないだろう。


まぁ、それはさておき、とにかくお互い相思相愛にも見えるようなこんな様子。


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201608012

ところが、ちょっと時間が長くなるとさすがに見習いにも戸惑いが。
見習いが体を後ろに引いたので、私は少年に
「もうそろそろ終わりにしようか。
まだ赤ちゃんだから、ちょっと疲れてきちゃったし。」
と声をかけました。

少年は名残惜しそうにしていましたが、少し離れたところで見ていたお父さんが
「〇〇、もうやめておこうね。」と横から声をかけました。

おかげで、見習いはイヤな思いを残さないで少年と別れることができました。

少年のお父さんに感謝。


『我慢』を体得していない思春期の見習いにとって、
このままにしておけば、イヤなものはイヤだ!とはっきり意思表示しないとも限りません。

愛犬を守れるのは飼い主だけです。
ちょっとイヤなおばさんになったとしても、言うべきことを言う勇気も必要ですね。
もちろん、できるだけ相手に不快感を与えないようにすることも大切ですが。

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2016年6月28日 (火)

動物取扱責任者研修

今日は年に一度の研修会でした。

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3時間ほどの時間を前半・後半に分けて行われる研修会ですが、今回は前半がなんと水越美奈先生による「動物の問題行動はなぜ起こる?適正飼育はどのように判断される?」というお題の講義でした。


水越先生の監修本は何冊か読ませてもらっていますが、実際お目にかかるのは初めてでした。

とてもわかりやすいお話で、もっと聴きたいと思った頃タイムアップしてしまいました。


動物取扱責任者研修は動物を取り扱っている者が必ず受けなければいけない義務研修で、トレーナーだけでなく、ブリーダー、シッター等々、ペット関連の仕事をしている人が対象となります。


動物の行動は「環境エンリッチメント」に左右されることなど、犬猫等に限らず、ペットショップや動物園の動物たちにも通じることを短い時間の中で盛りだくさんに語ってくださいました。


なお、今回東京都知事が欠員のため、通常は終了後にもらえる修了証を渡してもらえませんでした。
後日郵送で来るそうです。

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2016年6月13日 (月)

犬の能力

今日レッスンで伺ったお宅には現在預かり中の保護犬がいました。
保護センターから引き出された仔犬で、おそらく生後2~3か月ではないかとのこと。


初めは人間に対して警戒心や恐怖心が強く、自分から人に近づこうとはしなかったそうなので、預かりさんは、多頭飼いをしていることもあり、その仔犬のためにサークルを用意し、自由に出入りできるようにセッティングしました。


私が伺ったときもサークルのドアは開いていましたが、その仔犬はサークルの隅の寝床に伏せて、じっとこちらを見ていました。
普通仔犬と初めて会うと、どの子も来客(私)に大興奮し、足元にまとわりついてくるものですが、その仔犬は全く動こうとしません。
ほとんど人慣れが出来ていない状況がよくわかります。


私はちらっと存在を確認した後、レッスンを始め、その仔犬にはほとんど注意を向けませんでした。

ところが、始めて30分ほどすると、仔犬はソファに座っていた私のすぐ横まで来て座ってこちらを見ています。

ちょうどその時、「オスワリ」の再トレーニングをしていたのですが、私はレッスンの犬を褒めてトリーツを渡した後、振り返って、仔犬に「いい子だね。オスワリできるのね。」とトリーツをそっと差し出してみました。すると仔犬はちょっと間を置いてからトリーツを受け取り食べ始めました。

私はその後もレッスンを続け、合間に仔犬を褒めてトリーツを渡しました。


預かりさんの家で人と犬の観察を一週間したあと、自分の取るべき行動を理解し、うまく折り合いをつけているようです。


今日も、「オスワリ」をすれば、いい物がもらえるらしいと、見て学んでいたのかもしれません。

仔犬らしさは全然見られませんが、集中力と観察力はすばらしいものです。

素敵な家族と出会えますように。


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2015年12月 9日 (水)

犬の視覚と嗅覚

「犬は人間より鼻がいい。」
これは誰もが知る事実です。
犬の嗅覚は人間の一億倍とも言われているので、作業犬としてもその能力を発揮することが出来るのです。


しかしいくら鼻がいいと言っても、犬は普段鼻ばかりをつかっているのではありません。
犬種によっても違いますし、状況によっても異なります。


例えばアシスタントのようなボーダーコリーはハーディングドッグです。
つまり羊を追うことを仕事としてきた歴史を持つ犬種です。そのため他の犬種に比べると動体視力がすぐれています。
動くものにすぐ反応するということです。


ボールを投げて、ボールが飛んでいる時に追わせれば確実にボールを持って帰って来ますが、ボールを投げてしばらくしてから取りに行かせると、途中で見失うことがよくあります。
一度落ちて静物と化してしまうと、大変見つけづらくなるのです。おそらく色彩の判別能力による原因もあるかと思いますが、とにかく動かないものは認識しづらい。

そこで、見失って初めて「鼻」を稼働させます。
すると、目の前にあっても、ボールの匂いが漂う方へ動くので、ぐるっと回ってからボールに行きつくなんてこともあります。
なかなか難しいものです。

しかし、その分動体視力はとても優れています。ただその動体視力に悪い習慣を強化をしてしまうと、ほぼ一生消えなくなる可能性があります。

15年以上前のことですが、母犬クリスと、当時まだ一歳前だった子供たちを連れて夜の散歩に出たところ、たまたま出会った犬の飼い主が足元を照らす懐中電灯に反応した子供たちを見て、おもしろがって地面の上を縦横無尽に照らしたのです。

初対面だったので、私は穏便にやめてほしい旨伝えましたが、相手は全く意に介さず続けていたので、やむなくその場を去ることにしました。

しかし、時すでに遅し。子供たちは光に反応するという悪い習慣を身に着けてしまい、その後部屋に入ってくる光を反射して天井で動く光、自転車のライト、あらゆる光に反応するようになってしまいました。
動体視力の秀でた能力が裏目に出たとでもいいましょうか。


犬の能力をあなどってはいけませんね。

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2015年11月26日 (木)

社会化期をあなどるべからず。

仔犬を迎えた時、ワクチンプログラムと社会化期のジレンマで悩むのはよくあること。
「後から取り戻せる」というわけにはなかなかいかない子もいます。

犬も人と同じで個体差があるので、それぞれの気質の違いから、多少のことでは動じない子もいるし、元来怖がりや引っ込み思案な子もいるのは当然。

多頭飼いの場合、先住犬がいるから社会化は大丈夫と思っていて逆にとんでもないことになったりもします。


実は我が家の初代ボーダーコリーは2歳半で出産し、生まれた5頭のうち2頭が我が家に残りました。
子ども達は母犬に付いて行けば安心と思っているので、母犬の幼少期に比べると物おじしませんでしたが、あいにくお散歩に出る直前にお転婆が過ぎて後肢を骨折してしまった姉は弟よりお散歩デビューが一か月ほど遅れてしまいました。

外に出ることにはなんの問題もないのですが、家族以外の犬との挨拶がまったく出来ません。どう接していいのかわからないのです。
そんな風におどおどしている姉を見ると、お散歩経験者の弟は姉を守りに入り、ますます姉は自分で道を切り開くことが出来なくなりました。

幸いいつも家族がいるので、自分から吠えかかったり、喧嘩を売ることはありませんでしたが、彼女が進んで他の犬と楽しそうにしているのは10年の犬生の中で、数えるほどしかありません。
一度は自分から頑張って挨拶しに行こうと努力したのですが、あまりに時間がかかってしまい、相手が途中で帰ってしまったということもありました。


家族はよその犬とは違います。多頭飼いだからと安心せず、一人でも一歩踏み出せるように環境を整えてあげることも大切です。


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いつも弟が一歩前を歩いていた姉弟(生後4ヵ月)


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2015年10月 8日 (木)

繰り返しは大切。

先日犬のことばを理解してくれないと書いたワンコさん、
私や、ハスキー嬢、飼い主さんが繰り返す無言のカットイン(割り込む)動作から
ニコルに突然歯を当てにいってはいけないと少しずつ学んでくれているらしく、
最近は「つかつか」と寄ってくることなく、
少し離れた場所で周囲の状況を把握しようとしています。


ニコルの黒い顔が気に入らなかったのかもしれないし、
ニコルのチョロチョロ動く様子が気に入らなかったのかもしれないけれど、
とりあえず、自分が先頭切って歯を当てにくることは今のところなくなりました。


たとえ気に入らなかったとしても、存在を容認してくれる寛容さを持ってくれたのか、カットインされたことで、向かっていけないと理解したのか、いずれにしても少し話が通じたような気がします。


何事も地道な繰り返しを続けることが大事ですね。


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