ヒールポジション/ヒールワークとは
一般的に、お散歩のとき、飼い主の横や近くを歩くのは、正確なヒールワークである必要はありません。
リラックスして、ハンドラーの近くにいて、ハンドラーを意識できているのであれば、少し離れていても問題ありません。
多少前に出ていても、ハンドラーの声が届くのであれば、私は気にしません。
しかし、ドッグスポーツなどで、脚側(ヒール)をお願いする場合は、犬にきちんとヒールポジションを教える必要があります。
なぜなら、脚側行進(ヒールウォーク)はヒールポジションの延長線上にあるからです。
ヒールポジションがわかっていなければ、ハンドラーが動き始めてヒールを犬にお願いしても、犬は意味がわからず、ハンドラーの近くでうろうろしてしまうだけです。
そうならないために、基本のヒールポジションを犬に教えることが何よりもまず一番重要です。
かつての犬の訓練やしつけにおいては、ハンドラーの隣にいることやヒールポジションを教えるときに、リードを使ってコントロールしていました。
しかし、それは必ずしも犬にとって楽しいものではないことが多かったので、リードを外すと途端にどこかにいなくなってしまうことも少なくありませんでした。
そもそも、「ヒールポジションにいることは楽しい」と犬に伝えていくことが第一。
そのためには、犬が自分からハンドラーのヒールポジションに入りたくなるような状況を作ってあげること。
例えば、犬にとって好物の食べ物を使って、犬をヒールポジションに誘導するのも一つの方法です。
ルアーリングと言われる手法で、犬がオヤツについて歩こうとすることで、自然とヒールポジションに誘導することができます。
また、少し高さのある台をヒールポジションに設置して、犬がその上に乗るといいことがあると強化していくことでも覚えることができます。
いわゆるターゲットとなる「プラットフォーム」の設置です。
いずれにしても、最初の練習は、家の中など、あまり刺激の無い静かな場所で、リードを着けずに行います。
リードが無くても、犬がハンドラーのそばにいたいと思えるかどうかがポイントということです。
そういう練習を楽しく積みかさねていくことで、犬はヒールポジションと言葉のキューを理解すれば、お願いされたときにすぐにヒールポジションに入ってくることが出来るようになり、その後一歩を踏み出してもついてこられるようになります。
要はきちんと教えてあるかどうかと、犬がその環境でその作業が出来るレベルにあるかどうかです。
犬が理解できていなかったり、環境刺激が強すぎるのであれば、ハンドラーはひとつ前に戻って、再度練習をやり直す必要があります。
さて、今日は生後5か月のSさんのプライベートレッスンがありました。
Sさんはとても慎重派で、床の素材が変わっても、最初の一歩を踏み出すのに時間がかかるタイプです。
当然、掃除機やドライヤーも苦手だったので、馴れる練習を重ねてきたところ、
今回は掃除機がそばで動いていても全く気にしないでいられました。
気にしないでいることを褒めてオヤツをあげているので、
最後には、「掃除機のそばに行くとオヤツがもらえる」ぐらいに掃除機を好きになってくれて、
勝手に掃除機の下をくぐったり、匂いを嗅ぎに行ったりしていました。
ヒールポジションも犬が自分からキューを聞いて飛んできてくれるくらい楽しい場所になれば、リードがあろうとなかろうと、ハンドラーから離れることはなくなるでしょう。
くれぐれも、リードを無理やり引っ張ってそばにつけようとしないこと。
嫌な気持ちと関連づくと、リード自体が嫌悪刺激になってしまうこともあります。
競技におけるヒールワークは永遠の課題とも言われるほど奥が深いものです。
そこまで精度を要求しなかったとしても、犬にやらせるのではなく、
ついて行きたい気持ちづくりをすることが大事ですね。
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