洪水療法はリスキーです。
犬の社会化では、犬にいろいろなことを犬に経験させて、馴らしていくことが主な作業となります。
つまり、経験値をあげていくことが、その後遭遇する様々なものに対しても、「この前見たものと似ているから大丈夫」と自信をつけさせる一助となるからです。
しかし、いくら経験値が重要とは言っても、犬が警戒心から後ずさりしてしまうようなものに対して行う、「馴らす」作業には注意が必要です。
なぜなら、一度警戒心を持ってしまうと、すぐには受け入れづらいからで、これは犬に限ったことではありません。
「馴らす」作業では、最初からハードルを上げすぎないことがポイントです。
例えば、犬に対して警戒心が強い犬の場合は、遠くから犬を視界に入れて、何もネガティブなことは起こらなかったという経験値を増やしながら、他犬との距離を少なくするという工程が不可欠です。
犬が苦手な犬を急に、素性のわからない犬たちが走り回っているドッグランに投げ込めば、それはその犬にとって更なる恐怖心を植え付けないとも限らないので、限りなくリスキーと言えます。
このような方法は「洪水療法(Flooding)」と言われ、基本的には推奨されない手法です。
もちろん、凶ではなく吉と出るかもしれませんが、凶と出た時は、その後の犬の一生にかかわる大きなトラウマになって、ハンドラーと犬との信頼関係を再構築できなくなるかもしれないため、リスキーと言われているわけです。
蛇の嫌いなインディ・ジョーンズが、蛇の穴に落ちた時の気持ちと同じと考えましょう。
果たして、インディは蛇を克服できたのでしょうか。
そうならないために、苦手なものに対しては、距離を少しずつ縮めながら、
犬自身が「大丈夫」と確信できるまで、ゆっくり社会化を進めていくことが重要です。
くれぐれも、犬に負担をかけないことが大事ですね。
さて、我が家の見習いは他犬反応があります。
いわゆる、スルーできないので、社会化不足とも言えます。
犬と遭遇すれば、挨拶しようと興奮し、そばまで行けばお腹を出してひっくり返る。
ある意味、ウェルカムというより、「私には敵意はありませんので、くれぐれもよしなに・・・。」と言っている感じです。
そもそも、平常心が保てていれば、初対面の犬にお腹を見せる必要はありません。
いずれにしても、他犬に興奮するので、急に見ず知らずの犬との距離を縮めることはありません。
まずは、距離をとって、平常心を保つことが最優先。
大丈夫とわかれば、リードを緩めて、見習いの選択肢に委ねます。
もちろん、過剰な反応が出ているときは、呼び戻して落ち着くのを待つことも大事。
相手がある場合は、相手の気持ちも考えないといけません。
「社会化」とは、他犬と仲良くすることではなく、いちいち気にしないで平常心を保てること。
見習いの修行はまだまだ続きます。
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