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2025年4月20日 (日)

犬のきもちを無視しない

犬のボディランゲージという言葉を知らない人は少ないと思いますが、
ボディーランゲージひとつひとつの意味をきちんと理解している人は多くはありません。
ましてや、犬と暮らしていない人は知る由もないでしょう。

犬はボディランゲージや声、行動によって自分たちのきもちを表しているわけですが、
「唸る」「吠える」「歯あて」「咬む」という行動は常にネガティブに捉えられがちです。

唸ったり、吠えたり、歯をあてたり、咬んだりする行動がすべてアグレッシブ(攻撃)とは限りません。
どちらかというと「防御」の結果であることが多いのが現状です。

よくある犬と子供の間で起きる交渉事件。
飼い主は「大人しい犬なんです。」と言っていることが多いです。
普段は大人しいのに、なぜ咬んでしまったのか。
そこに、犬のきもちは見過ごされていなかったのか。

何をされても耐える犬はいますが、すべての犬が同じではありません。
中には閾値が低く、すぐ限界に達してしまうこともあるでしょう。
その時犬が発したサインを見逃していると、犬はサインを出さずに「咬む」行動に出るようになります。

小さい唸り声を無視したり、こっちに来ないでという「吠え」を無視したりしていると、その行動を飛ばすようになるのは犬が学習する動物だからです。

自分の家に犬がいると、ついついよその犬も自分の家の犬同様、大人しくて、黙って撫でさせてくれるだろうと思っている人は少なくありません。
ましてや子供であれば、不用意に近づいていくこともあるでしょう。

人間でも、知らない人が急につかつかと近づいてきたら恐怖を感じませんか?

かつてボーダー・コリーの母子3頭で暮らしていた時の話です。
公園のベンチで犬友達とまったり歓談していたら、お散歩中の若い人たちが寄ってきて、急に我が家の息子犬の耳をガシッとつかみました。
私も犬もびっくりしました。

話を聞くと、若い学生さんがボランティア活動か何かで、障害を持っているお子さんたちのエスコートをしていたようです。
犬の耳を掴んだのは障害のあるお子さん。
エスコートしていた学生さんは必死にその手を開こうとしましたが、できませんでした。

私は自分の犬をひたすら励まし、犬も困惑した状態で私を見ていました。

しばらくして、お子さんが手を放し事なきを得ましたが、こんなことをされてどんな犬も黙っていられるわけはありません。
たまたまその犬はおっとりした性格で、人間への信頼度が高かったので、反撃しなかっただけです。

昨日のしつけ教室で、ご参加者の愛犬の様子を確認するために、私が犬に近づくことがありましたが、基本的に初対面の犬に対してぐいぐい近づいていくことはありません。
犬だって知らない人に近づかれたら不安を感じることがあるからです。
中には、どんな人にもウェルカムでフレンドリーなタイプの犬もいますが、どの子もそうではありません。
一見フレンドリーに見せて、実はちょっと怖がっていたりします。

そこで、ちょっと警戒している犬たちに対しては、正面からではなく、斜に構えて近づいて、犬と同じ目線で、まずにおいをかいでもらったりすることから始めます。
そのとき信頼を得られればすぐ次につながりますが、警戒心がなかなかとけない場合は無理はしません。
オヤツが仲立ちになることもありますが、常にそうとも限りません。
したがって、急にリードを引っ張ったりもしません。
犬に来るか来ないかの選択肢をあげます。
そうでなければ、犬のきもちを無視した押しつけになってしまうからです。

今朝は散歩の途中で遭遇した若い男性が、座っていた見習いを見て、「かわいい!」と言いながら、最初は普通に撫でていたのですが、何を思ったのか急に見習いのマズルを掴んで自分の顔を寄せました。
いやぁ、それは危ないなぁ。
私はさりげなく、「あんまりしつこいと咬むかもしれませんよ」とお伝えしました。
もちろん、一方では見習いに「アーちゃん、おりこうさんだねぇ。」と耐えていることを褒めてトリーツを渡し、その男性には「ありがとうございました」と言ってその場を後にしました。

離れた途端、見習いだけでなく、一緒にそばにいたアシスタントも体をブルブルっと震わせたのは言うまでもありません。

相手のあることなので、杓子定規に「触らないでください!」とは言えないのが人間同士のコミュニケーションですが、犬を犠牲にすることで結果お互いが傷つくのはよくありません。

普段危なくない犬であっても、追い詰められたら自分を守ろうとする行動をとる可能性があることを、知っておくことも大事です。
犬同士だけでなく、対人においても3秒ルールは適用したいところ。
犬を追い詰めていないか、行動を見直してみましょう。

先代のアシスタントは、公園で知らない子供にこんなことをされても気にしないタイプの犬でした。
興奮するわけでもなく、穏やかに受け入れる。
いわゆる社会性の高い犬でした。

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それはもちろん個体の性格もありますが、彼女が育った環境に、分別のあるお子さんがいらしたことも大きな要因だと思っています。

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