引っ張りっこも犬のエンリッチメント
犬との遊び方は様々です。
犬にとっても、得手不得手があるので、どの犬も同じような遊びに興じるとは限りません。
ボーダー・コリーだからといって、どの子もディスクで上手に遊べるわけではないのと同じですね。
「追いかける」という行動は、犬の持って生まれた本能をくすぐるものなので、遊びに誘いやすいことは確かですが、いつもハンドラーが逃げ回っているわけにはいかないので、ハンドラーの代わりにおもちゃを使って追いかけさせることで、犬の本能を満たしてあげることができます。
「追いかけたい」犬のきもちを、現実のバイクや子供、猫を追いかけるのではなく、疑似の獲物(おもちゃ)や、ボールやディスクを追いかけることで、満たしてあげることはとてもいいエンリッチメントにもなるわけです。
最近流行っているノーズワークなども同様です。
嗅覚を使わせることで、犬本来の犬らしい行動を満たしてあげるというものです。
さて、今日は若いYさんのプライベートレッスンがありました。
Yさんにはリソースガーディングがあるので、少しずつ環境を変えながら、トレーニングによって代替行動を強化し、イラっとしない生活を続けてもらっています。
その過程で、飼い主さんと上手にボール遊びができるようになったYさんに、今日は引っ張りっこの楽しさを教えてあげることにしました。
Yさんの場合、引っ張りっこ遊びの目標は、飼い主さんと楽しく遊ぶだけでなく、「ちょうだい」で咥えているものを放せるようにすること。
同時に、噛んでもいいのはおもちゃで、人間の手ではないということも学習してもらうこと。
飼い主さんにお願いする前に、私がYさんに遊び方のルールをお伝えすることにしました。
丈夫そうなおもちゃでYさんのきもちをくすぐり、気が乗ってきたら引っ張りっこのスタートです。
おもちゃを噛みながらガウガウ言うYさんに、飼い主さんは初めは少し驚かれましたが、これは犬が真剣に遊んでくれている証拠です。
以前にも書きましたが、引っ張りっこしているおもちゃは取り合っているのではなく、協力して獲物を撃退しているので、犬とハンドラーは敵同士ではありません。
子犬の場合は、途中でおもちゃを犬に渡してあげることがポイントなのですが、Yさんの場合、一人で咥えてしまうと取られまいと必死になってしまうので、今はまだYさんには渡しませんが、適当なところで、「ちょうだい♪」と言いながらオヤツを床に落として、おもちゃを放したところで褒めて、一息入れてから、「OK」でまた引っ張りっこを始めるようにしていたら、数回やったところで、「ちょうだい♪」でおもちゃを放してくれるようになりました。
少しルールがわかってきたところで、飼い主さんにもやっていただきました。
気を付けなければいけないことは、おもちゃを早く動かしすぎたり、上にあげすぎたりしてYさんを焦らせないこと。
Yさんが間違って手に歯を充てることがないように、人の動きを調整します。
人が好きなYさん。
「嫌なことをされる」というきもちにさせない環境設定が大事です。
「オスワリ」が鉄板になりつつあるYさん、「ちょうだい♪」も体得してくれると、お互いのストレスが軽減されますね。
※今回使用したおもちゃはYさんのおうちにあるものを使いましたが、引っ張りっこは手が近いとお互いストレスになるので、ロープなどが付いていて、少し犬と距離がとれるおもちゃのほうが遊びやすいでしょう。
ちなみに我が家の犬たちとは、こんな感じのおもちゃを使っています。
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