なんで急に怖がりになったの?
「子犬の頃は何に対しても果敢に突っ込んで行ったのに、生後半年ぐらいから、急にいろいろなものが気になり始めるようになった。」
と言うお話をよくお聞きします。
いろいろなものに警戒して、逃げたり、吠えたりするようになった愛犬を見て、「この子は怖がり。」と決めつけてしまう人もいますが、実は違います。
小さいころはいろいろなものに好奇心を持って接することが出来た子犬も、成長するにつれて警戒心が出てくるので、子犬の頃と同じような行動が取れるわけではなくなるからです。
いわゆる思春期と言われるもので、成長と共にメンタル面も変化し、ホルモンの変化と共に、様々な要因がかみ合って、犬自身も自分のメンタルをうまくコントロール出来ない状況になってしまうのです。
人間も、子供同士はすぐに打ち解けられたのに、思春期ぐらいになると、誰彼問わず仲良くなるのではなく、自分と合うか、安全か、など、様々な思惑を持って友達作りをするようになるのと同じですね。
よくあるのが、「大丈夫、大丈夫」と言った励ましの声をかけてしまうこと。
人間であれば、ママが大丈夫と言うのだから大丈夫だろうと理解することが出来ますが、犬の場合、すでに気持ちは警戒心満載で大丈夫では無いので、そこで「大丈夫」と声をかけられてしまうと、今の自分の不安な気持ち=「大丈夫」という言葉で表されると学習してしまい、何も無くても、「大丈夫」と言われると不安な気持ちになってしまう可能性があります。
では、どうすればいいのか。
基本は「平常心」です。
ハンドラ―がバタバタしてしまうと、犬の気持ちをあおってしまうので、落ち着いて愛犬の状況を観察して、今の気持ちを理解することが大事です。
理解したうえで、その気持ちを犬自身が「大丈夫」と学習できるようにサポートしていく方法を考えます。
怖いと犬が感じている環境を作って、馴れる練習をしていくわけですが、その時重要なのが怖いものとの距離です。
近すぎれば心穏やかにはいられないので、犬が落ち着いていられる距離で、犬に自分で「大丈夫」と学習してもらうことが重要です。
さて、今日は生後5か月のDさんのカウンセリングがありました。
「怖がり」と聞いていたので、なるべくこちらからはコンタクトを取らないようにしていたら、自分からチェックしに来る余裕がありました。
おうちの中では他人がいても、大分落ち着いていられたDさんでしたが、外に出ると、やはり怖いのか挙動不審になりました。
そこで、騒音の少ない道を選んで、トリーツを使いながらDさんとコンタクトを取りながら歩いていただくようにしたら、怖がると言われていた自転車とのすれ違いも、一瞬自転車に目をやっただけで、すぐ飼い主さんに意識を戻すことが出来ました。
※すれ違う自転車を一瞬目視しましたが、怖がる様子は見せませんでした。
何も言わなくても、飼い主さんに意識を向けていれば大丈夫ということがわかれば、気持ちを切り替えやすくなります。
飼い主さんはトリーツを使う量に驚かれましたが、今は「怖くない」という気持ちづくりを集中して行う時期なので、たまにトリーツを渡すのではなく、頻繁にいい行動を褒めていく必要があります。
習慣になってきたら、少しずつトリーツは減らせます。
新しい行動を教えるよりも、気持ちを切り替えるには時間がかかります。
忍耐強く続けて行きましょう。
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