愛犬を守れるのは飼主
なんとも当たり前のお題ですが、実は意外と守り切れていないことが多いものです。
例えば子犬の社会化においては、お散歩に出られるようになると、飼い主としては他の犬と仲良くしてほしいと思うあまり、ついつい子犬の背中を押すどころか、子犬に無理強いをしてしまうことがあります。
子犬には、なんでも受け入れやすい「感受期」(生後3週令から12週令)があり、その期間に多くのものに触れる機会を持った子犬は、その後の社会化がスムースに進みやすいと言われていますが、実際新しい飼い主の元に来るのは感受期も後半になってからなので、ワクチンプログラムの観点からも、なかなか良いタイミングで社会化出来ないという現実もあります。
もちろん、社会化自体は成犬になっても続くものなので、感受期が終わると出来なくなるわけではありませんが、警戒心や恐怖心などが出てくることで、子犬の一歩が出づらくなることも事実です。
そんなとき、世間の荒波にもまれていない子犬を、見知らぬ犬の方に無理矢理引っ張って行って近づけて、「お友達だから仲良くしなさい」というのはあまりにも酷です。
本当は、子犬が自分から近づこうと勇気を出すまで待ってあげることが重要なのですが、実際は相手の犬が突撃して来たり、子犬が近づこうとしたら反撃をくらってしまったりと、子犬にとってトラウマになりかねない状況は少なくありません。
そもそも、社会化は、人間社会の中で、様々なものに遭遇しても平常心でいられるようにサポートしてあげることと言うのはいつも書いていますが、子犬の安全が守れない状況にならないように、飼い主としてはサポートしてあげることが重要です。
しかし、「うちの子は大丈夫ですから。」という言葉を真に受けてひどい目に遭う可能性もゼロではありません。
なぜなら、相手の犬にだって好き嫌いがあったりするので、こちらの犬の出方によっては気分を害さないとも限らないからです。
そこでいつも言っているのが「3秒ルール」。
相手が挨拶をさせようと無理矢理寄ってきたとしても、相手の気分が変わらないうちに、「こんにちは。ありがとうございました。」と3秒でその場から離れること。
犬の動きは速いので、最初は機嫌がよかったとしても、相手の出方によって態度が変わらないとは誰も保証できないからです。
また、「うちの子は大丈夫だから」と言われてしまうと、それでも「いえ、ウチの子はまだ子犬なので、ちょっと時間をかけないと」と言うようなことが言いづらかったりするものです。
中には、愛犬をサポートしている飼い主さんにさげすむような言葉を投げかける人も少なくありません。
※ここで言うサポートとは、愛犬を抱き上げて過保護にすることではなく、愛犬が自分の足で前に進むか後退して様子を見るかを選択する時間をとってあげるということです。
そもそも苦手意識がある犬の場合は、最初から距離をとって相手をやり過ごすことも重要です。
我が家の見習いをよく知っている人は、彼女の他犬への接し方の腰の低さを知っているので、見習いが多少吠えたとしても、アグレッシブとは思いませんが、まったく知らない犬や人が、顔の黒い中型犬の見習いが吠えたり、挨拶しようと飼い主(私)を引っ張って向かって来ようとしていたら引いてしまうのは当然のことです。
こちらが、「この子はフレンドリーだから大丈夫です。」などと言ったところで、相手は警戒するでしょう。
そもそも、子犬の社会化とは、視界に入った犬のもとに飛んで行って挨拶をさせろと大騒ぎをすることではありません。
視界に犬が入っても、一喜一憂することなく、平常心を保てること。
見習いの修行はまだまだ続きます。
さて、今日は若いM君のプライベートレッスンがありました。
飼い主さんの歩調に合わせて上手にお散歩も出来るようになりましたが、時に他犬に対しての反応が過敏だったりするので、散歩中飼主さんとのコミュニケーション強化をお願いすることにしました。
それには、お家で出来ることが外でも出来るようになるということも重要なポイントです。
飼い主さんの声が耳に届くように、呼び戻しの練習を兼ねて、散歩中でも飼い主さんと遊ぶ時間も作っていきます。
犬に自信を付けさせることも大事ですね。
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