犬は目に映る景色全体をキューと判断する
愛犬が行動のキューをきちんと理解出来ているかどうかと言う話はここでもよく書いています。
どういうことかと言うと、愛犬に「オスワリ」をお願いする時、いつも前かがみになって、人差し指を立てて「オスワリ」と言っていると、そのどれかが欠けても犬が行動に移せない可能性が出てくると言うもの。
つまり、犬は「オスワリ」のキューは、ハンドラーの言葉だけでなく、前かがみの姿勢や、立っている人差し指を含めた全体像で判断しているので、犬に背中を向けて「オスワリ」と言っても、やってくれないかもしれないということです。
これは犬が悪いわけではなく、人間がそう教えてしまったことが問題なので、どんな行動でも、ハンドシグナルやボディシグナルを無くして、言葉だけでも犬が理解できるように、最後まできちんと伝えてあげる必要があることを意味しています。
「ハンドシグナルやボディシグナルがあった方が犬に優しい」と考える人もいます。
年齢を重ねて、耳が遠くなったりした場合は当然視覚に頼るので、そういうときは改めて関連付けをしてあげるといいでしょう。
歳をとっても犬たちはちゃんと学習できるので、いい刺激になったりします。
いずれにしても、人は常に同じ体制で犬にキューを出すとは限らないので、出来ればニュートラルな状態で犬に伝わるように練習しておくことが大事です。
同様に、ドッグダンスのトリックなどで使う「バック(後退歩行)」ですが、ハンドラーと一緒に動く後退歩行とは異なり、犬だけが単独で後ろに下がることを教えます。
単独とは言っても、後肢を後ろに下げて動く行動はなかなかわかりづらいので、身体の使い方を教えるときは、ヒールウォークをしながらハンドラーと一緒に後ろに下がる練習をすることもありますが、その後は犬とハンドラーが向かい合わせに立っているところから、単独バックを教えるのが一般的です。
つまり、犬が「バック」のキューを聞くときは、ハンドラーの顔を見ているところから覚えるので、ハンドラーとの立ち位置が変わってしまうと、下がれなくなってしまうことがあります。
例えば、ハンドラーの足の間から犬だけ後ろに下がるように言ったとき、向かい合わせならすぐ下がれる犬が躊躇することがあります。
これはいつも「バック」と言われるときの景色と違うからですね。
どこにいても、「バック」と言われれば後ろに下がれるように練習してあげることで、景色とは関係なく、言葉のキューだけで反応できるように「般化」してあげるといいでしょう。
さて、今日はドッグダンスのグループレッスンがありました。
A君はバックアラウンドを練習中です。
初めはキューを付けずに、身体の動かし方だけを教えていきますが、後半はヒールのキューを言ってあげることで、A君は自分からスタートのポジションにバックで戻ってくることが出来ました。
前半がスムースに動けるようになると、ゴールはすぐですね。
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