リーダーになることと、力を行使することは違います。
子犬を迎えると、かわいくて仕方のないのは当然ですが、ときに、子犬のきもちを無視した行動を取ってしまう場合があります。
しかし、子犬のことを考えれば、子犬の人格(犬格)も尊重してあげなければいけません。
つまり、可愛いからと溺愛し、子犬の自立を妨げたり、何をやっても許してしまうのは犬にとっては大きな勘違いの元になります。
体が大きくなっても、同じようにふるまう犬を見て、急に「それは違う」と言われても犬は混乱してしまうので、小さいころから一貫した習慣づけを行っていくのが、犬にとって真に優しい対応と言えるでしょう。
もちろん、子犬の頃は赤ちゃんと同じなので、「イケナイ」と言いたくなるような行動を沢山とりますが、それは人間が環境を上手に整備することで、犬が「イケナイ」行動を取りづらくすることで防ぐことが可能です。
それでも、チャレンジャーな子犬たちは、好奇心のままに、様々な行動を取って飼い主をびっくりさせたりしますが、そんな時人間はどう対処したらいいのでしょうか。
かつて、とあるSNSで、愛犬に噛まれると相談したところ、力で組み伏せ、どちらが上かわからせるべきだというような書き込みがありました。
いわゆる、「甘噛みをしてきたらマズルをぎゅっと掴んで叱れ。」とか「甘噛みをしたら子犬の口の中にグーを突っこんで、『オエッ』とするまで手を出すな。」と言うようなニュアンスのものでした。
力で子犬をねじ伏せることで子犬は何を理解するのでしょうか。
賢い犬であれば、
・この人は痛いことをするから、この人の前では静かにしていよう。
(裏を返せば、痛いことをしない人には何をやってもいい。)
・この人は痛いことをするから、傍に寄らないようにしよう。
(呼んでも来ない犬になる)
・この人は痛いことをするから、この人が手を見せたら、マズルを掴む前に噛んで反撃しよう。
(甘噛みが本気噛みに移行する)
こんなことを考えるようになるのではないでしょうか。
ときに「主従関係」と言う言葉を耳にします。
そもそも「服従訓練」という言葉からして、犬を服従させることなのかと、勘違いさせてしまうような気がしますが、一般的なドッグトレーニングは、ハンドラー(飼い主)と犬との共通言語を教えてあげることで、犬がハンドラーのキューに対してすぐ行動できるようにしてあげることです。
その中に、どちらが上(主)か下(従)かという区別はありませんが、まったく同じ立場であるわけでもありません。
なぜなら、日常生活の中では、ハンドラーが犬を守る立場にあるからです。
そのために、ダメなことはダメと伝え、やって欲しい行動が出やすいように根気よくサポートしながら伝えていく義務が生じるわけです。
例えば、我が家の犬たち、先週避妊手術を終えた見習いは、傷口が開くといけないので激しい運動はさせられないのに、アシスタントをワンプロに誘います。
そこで、私の目が届かないときは、必ず片方をクレートに入れていますが、同じ部屋にいるときはフリーなので、ワンプロが始まると「ダメよ~。傷口が開くから。」と言うだけで、ワンプロをやめてお互いのクレートに戻っていきます。
力づくで引き離す必要は全くありません。
私が何を言っているのかちゃんとわかっているからです。
犬は時として、とても嫌な思いや怖い思いをしたことをなかなか忘れられず、トラウマを持ってしまうと、口で反撃するという行為に及ぶことがあります。
そもそも、気質に欠陥がある(生まれつき)攻撃的な犬でなければ、それ(反撃)は恐怖が原因での行動なので、その行動を止めさせようと力で押さえつけてもなんの解決にもなりません。
そんな行動を取らなくても、君は大丈夫だと理解できるまで、根気よく向き合っていくことが重要です。
かつて甘噛みする度に首輪を吊り上げられた犬が、首輪やリードに手が触れそうになると、家族全員を噛むという行動に出るようになりました。
首輪やリードに触れなくても、近くによるだけでも歯を剥くようになり、一切家族を信じない犬になってしまいました。
実はそんなに家族を信じていないのに、その犬は体を触って欲しい時だけ自分から人にすり寄っていくので、飼い主さんはついつい撫でてしまうのですが、気に入らなくなると、すぐにその手を噛もうとするので、飼い主さんはどうしていいかわからない状況になっていました。
力や強い口調で言えば言うほど、興奮はマックスになり手に負えない犬になりましたが、その犬にとって嫌悪刺激になる行動をご家族が一切やらなくなったら、噛む行動が出なくなり、噛むスイッチが入りづらくなりました。
一度崩れた信頼関係を築きなおすには時間がかかります。
手っ取り早く治す方法はありません。
可愛いからと猫かわいがりすることが犬との関係を築くことではないし、犬が言うことを聞かないからと力で押さえつけることも違います。
犬にとってわかりやすいのは、何がいいことなのかを明確にしてくれる人ではないでしょうか。
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