トラウマ(心的外傷)のはなし
人間同様、犬も大きなショックを受けると心に傷を受けることがあります。
いわゆる「トラウマ(心的外傷)」です。
先日のレッスンで、子犬が成犬に噛まれてしまった場合トラウマになるかという話になりました。
子犬はしつこく遊びに誘って来るので、大人の犬にとってはしばしば教育的指導の対象となることがあります。
大人の犬が教育的指導する場合、マズルを当てたり、軽く噛んだり、あるいは吠えながらマズルをあてて歯があたってしまったりすることもあります。
基本的に、繰り返し執拗に噛んだり、噛みついた後首を振ったりしなければ、攻撃行動ではありません。
教育的指導、あるいは、「うざいからあっちに行け!」と言った大人の犬の言い分は良くある話です。
教育的指導は母犬によっても行われているので、子犬は多少びっくりしても、同じ行動が繰り返されなければトラウマになることはあまりないと思われます。
しかし、どの犬も良き先輩とは限らないので、子犬を年上の犬と会わせるときは注意が必要です。
去年我が家に一か月ほど滞在していたNちゃん。
我が家に馴れた頃、まったくアシスタントに相手にしてもらえないNちゃんは、見習いのVinにかまってもらおうと、何度もVinの入っているクレートの前でアピールしていたところ、あまりのしつこさに見習いがウツボのようにクレートから顔を出して、Nちゃんの顔目掛けて一声「ワン!」
びっくりしたNちゃん、キャンと叫んで、そのまま部屋の隅までピューと走って行って壁に向かって二足立ち。
よほど怖かったのでしょうね。
これで見習いの傍には当分行かないだろうと様子を見ていましたが、しばらくすると、ウツボに捕まらない距離でアピールしています。
時折、クレートギリギリまで行っては素早く下がってみたりと、賢く動き回るようになり、10日後にようやく見習いを懐柔しました。
トラウマにはなっていなかったと言っていいでしょう。
※懐柔された見習いと、大胆な行動をとるNちゃん。
しかし、かつて我が家にいたハスキー君、おっとりした性格で、未去勢ながらどの犬ともフレンドリーに接することが出来た犬でしたが、シニアに差し掛かった頃、急にハスキーが増え始め、犬友たちと仲良く遊んでいた時、その中の若いハスキーの男の子に突然噛まれてしまいました。
新顔の若い雌のハスキーの登場で、その場がザワついたようです。
その時の傷は結構深かったのですが、彼は治療を嫌がることも無く、その後も他の犬とフレンドリーに接していました。
ところが、その数か月後、夜公園内を自転車で走行中、突然暗闇からノーリードのオスのハスキーが追いかけてきて、シニアな彼はダッシュで逃げることも出来ず、耳を食いちぎられてしまいました。
彼にとってこのような事件が2繰り返されたことで、まさにトラウマを抱えてしまうことになってしまいました。
以降オスの大型犬が近づいてくると、唸ったり、吠えたりしてあからさまに嫌悪を表すようになりました。
トラウマは嫌悪刺激の回数とは関係ありません。
要は犬がその状況をどう受け止めたかによります。
たとえ一度でも大きな衝撃であれば、トラウマになる場合もあります。
犬同士の問題だけでなく、例えば人間側から継続的に嫌悪刺激を与えられ場合は、当然トラウマになって、犬はその状況になる前に防御策を取るようになります。
例えば、頭を叩かれ続けていれば、手があがった瞬間に逃げたり、叩かれる前に歯を当てるという行動を取ります。
かつて、柴犬の子犬の甘噛みに悩まされていた飼い主さんは、獣医師から、「甘噛みが始まったら、首輪に着けたリードを吊り上げて、甘噛み出来ないようにしなさい。」とアドバイスを受け、それを続けたそうです。
その都度子犬は、キャンキャンと鳴いていたそうですが、ある時から、飼い主さんがリードに手をかけようとすると、その手に噛みつくようになりました。
犬も心的外傷を受けることを理解したうえで、愛犬に接することが不可欠です。
トラウマへの対処法は、原因によって異なります。
原因を解明してから、時間をかけて治していく必要があります。
お互いのストレスを軽減するためにも、よりよい環境設定に気を配ることが不可欠ですね。
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