犬はイヌという動物です。
なんとも当たり前なお題で、タイトルだけ見て続きを読まない方は、恐らく犬をちゃんと動物として扱っていらっしゃる方だと思います。
もし、「えっ?子供と同じよ。」とか、「ウチの犬は鑑賞用です。」とおっしゃっている方は是非最後までお読みいただけると、こういう考え方もあるのだということを頭の隅において頂けるのではないかと思います。
子犬を迎えると、ワクチン接種が必要になります。
今巷でよく聞くコロナワクチンの接種同様、病気に罹患することを予防するために必要となるものです。
成犬は多少感染しても発症するリスクが低いですが、抵抗力の無い子犬は重症化する可能性があるので、ワクチンを接種し、抗体があがってくるまでの期間を経てからお散歩に連れて出ましょうというが一般的です。
ワクチン接種が済むまでは外を歩かせてはいけないという基本情報を獣医師に言われてしまうと、外に全く連れ出さない飼い主さんの方が当然多くなります。
しかし、犬との生活全般のサポートをする立場のトレーナーとしては、ワクチンが済む前でも、是非子犬を外に連れ出して下さいとお願いしています。
なぜなら、生後2か月程度の子犬は好奇心が旺盛なので、新しい環境への適応能力が高いため、新しい家族の元に行くのにちょうどいいタイミングと言われていますが、ワクチン接種が完了する頃には、少し大人になってしまい、いろいろ怖いものが出てきて、環境への適応速度が落ちてしまうからです。
怖いものが出てきてしまうと、散歩中何かに反応してフリーズしたり、あるいは吠えたりと、犬にとって散歩が楽しいもので無くなってしまう可能性が高いからです。
散歩に出て、よその犬に会う度に吠えずにいられないとしたら、それは犬にとっても飼主にとってもとても大きなストレスになり、飼い主はついつい散歩に出る回数を減らし、犬はさらに社会化不足となり、散歩に行きたくなくなるという悪循環が繰り返されてしまいます。
そうならないためにも、早くから犬を新しい環境に馴らしてあげる必要があります。
では、どうすればいいのか。
そこで、「抱っこ散歩」をお奨めしているわけです。
小型犬であれば抱っこ散歩はさほど大変ではありませんが、中・大型犬の場合は次第に重くなって、抱っこもなかなか大変です。
我が家も初代ボーダー・コリーを迎えたときは、家の近所を30分程度子犬を抱いて歩き回りました。
当時の家の前はバス通りで、車の往来が多かったのと、学校が隣接していて、散歩の途中で幼稚園生、小学生、中学生、高校生や大学生と遭遇する機会が多かったからです。
しかし成長と共に次第に重くなって、抱いて歩くのは結構大変でした。
もしそのころ、犬用のカートがあったら、もっと楽だったと思います。
今の見習いが我が家にやってきたときは、先住の犬たちがシニアになってから購入したカートがあったので、カートに乗せて散歩に出ることが出来ました。
地面に降りられなくても、車や自転車、よその人や犬など、多くのことを観察することができました。
カートに乗っているときはほぼ箱乗り状態で、まったく飼い主の方など見ようとしません。
それぐらい、周囲の様子は彼にとってとても刺激的だったということです。
カートはとても便利ですし、特にマンションなどの集合住宅にお住いの方は、共有部分では犬を歩かせられないという規定があったりすると、カートが子犬の社会化期だけでなく、その後の日々の散歩でも、共有部分の通過時に使用できるのでコストパフォーマンスはとてもいいと思います。
当然シニア期のお散歩でも使えます。
しかし、敷地の外を歩かれるときは、是非自力で歩かせてあげて下さい。
犬は視覚だけでなく、嗅覚を使いながら多くの情報を入手します。
自分の足で歩き、様々な匂いで物を確認するという行動で、多くを学習していきます。
怖いものと遭遇した時の対処法なども、自分の足で歩いていなければ経験できません。
「この犬は散歩はいらないですよ。」と言われて入手されたとしても、もし一生犬を家の中から出さないのでなければ、是非散歩に連れ出してあげましょう。
なんの下準備(経験)も無い犬を、突然家族旅行に行くからと見知らぬ場所に連れていけば、犬のストレスは想像以上のものとなるでしょう。
犬はいろいろなことを感じ、考え、学習する動物です。
人間社会で共に暮らすことをお願いするのであれば、過保護にすることなく、きちんと自立できるようにサポートしてあげることが人間の役目とも言えるでしょう。
「かわいそうだから。」とか、「この子には無理だから。」と犬が自立するチャンスを奪うことなく、犬という動物との生活を一緒に楽しみながら学んでいってほしいですね。
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