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2021年5月19日 (水)

ドッグトレーニング:オヤツの外し方

昨日のオンライン授業の中で、ドッグダンスの新しいトリックやムーヴを教えていく過程で、ルアーとして使っているトリーツ(オヤツ)をどうやって外していくかというお話もしました。

ドッグダンスやオビディエンス競技などでは、基本モチベーターは使用できません。
つまり、トリーツやおもちゃなど、犬にとってやる気の元になるものは持ち込めないということです。

しかし、日常的にトリーツを使いながら練習をしていると、トリーツを外すタイミングや手順がわからないと、いつの間にかトリーツを手に持っていないと何もやってくれない犬になってしまっているということがあります。
これがよく言われる「オヤツで釣っているトレーニングは役に立たない。」や「オヤツで言うことを聞かせようとするからだ。」という犬の学習理論を理解していない人たちによる批判です。

今朝のFacebookで上がってきたイラストを見て、とても分かりやすかったのでシェアさせてもらうことにしました。
この記事はアメリカの著名なドッグトレーナーGrisha Stewart氏が引用しています。
Grisha
BAT(Behavior Adjustment Training)を考案された人でもあります。
先日ブログに書いた「3つのD」のことがわかりやすく描かれています。

202105191

※Grisha Stewart Dog Training & Behaviorから引用

図の中にある「Mark」はクリッカーの音や、言葉で「あってるよ。」と教えることです。
言葉の場合は、「そう!」や「Yes!」などの短いものを使います。

ここでポイントになるのは、繰り返す回数と検証です。
何度か繰り返して練習すると、犬はある意味パターン化して動くので、きちんと学習しているとハンドラーが勘違いしてステップアップしてしまうことがありますが、様々な場所(Distraction)での繰り返し練習することで、確実に学習しているかどうかを確認する必要があります。


ステップの概要は以下の通りです。

1.
犬に新しい行動を教えるにあたり、ルアー(誘導)やキャプチャリングなどの手法でトリーツを使って犬を動かし、上手できたらマークしてご褒美をあげる。
2.
上記の動きを1015回、様々な場所(環境)で繰り返し練習。
3.
練習の成果を検証する。5回検証し、4回以上正解が出ていたら次のステップへ。3回だったら現状維持。1回~回しか正解が出せないときはステップを一つ前に戻す。
4.
トリーツを手に持たず、ハンドシグナルのキューで指示を出し、出来たらマークしてご褒美をあげる。
このとき、図にはありませんが、言葉のキューを出してからハンドシグナルを出していくと、次のステップに入りやすくなります。
5. 2
3のステップを行う。
6.言葉のキューを出したら、ハンドシグナルは出さず、上手に出来たらマークしてご褒美をあげる。
7.2
3のステップを行う。
8.言葉のキュー(あるいはハンドシグナル)で犬が上手に出来たらマークしてご褒美を出す。
9.
次第にマーカーをはずし、言葉でほめたり、トリーツを出したり、言葉だけで褒めたりしながら、トリーツのリワードを外していく。
10.
行動が身についてきたら、3Dをひとつずつくわえた練習を繰り返し、その都度検証していく。3Dが加えられているときは、マーカーやトリーツのご褒美は使う。
11.
その都度23の検証ステップを繰り返す。
12.3D
が加えられても出来ることが検証されたら、その行動を忘れないように維持してもらうための練習を様々な環境で行い、最後に検証する。

これらの工程を行うことで、犬は行動を学習するだけでなく、様々な刺激の中でも行動できるようになっていくというわけです。

先日のクライアントさんが、日々のレッスンで、「こんなに細かいステップでやらないとダメなんですね。」とおっしゃっていましたが、まさにその通り。
それらを端折って、「ウチの犬は出来ない。」と思ってしまうのは大きな間違い。
手間をかければ、犬はちゃんと応えてくれますよ。

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