ブリーディングについて
今日はちょっと長文です。
仕事柄多くの飼い主さんと出会い、様々な犬たちとの出会いがあります。
カウンセリングで伺うとき、情報源として、犬をどこから入手されたのか伺います。
入手先は、ブリーダー、ペットショップ、保護団体等いろいろです。
以前はペットショップや保護団体の場合、多少なりとも問題行動の原因がある可能性があって、ブリーダー出身の場合は安心できると思われがちでしたが、最近ブリーダー出身でも問題を抱えているケースが増えています。
ブリーダーと称するところでも、パピーミル(子犬工場)と言われるように、施設内にケージがカプセルホテルのように並び、繁殖犬は繁殖のためだけに生かされていて、散歩に連れ出してももらえないというケースがあります。
こういうところでは、繁殖犬として使えなくなると、保護団体に渡してしまうこともあります。
そこまで大がかりでなくても、年に2回シーズンが来る雌犬に、シーズンごとの交配をさせるという虐待に近い繁殖をしているところもあります。
わが家も20年以上前に一度だけ繁殖したことがあります。
母犬は交配から2か月ほどで出産、その後離乳食が始まるまで、おっぱいを飲ませ、排泄の処理をし、寝る間もなく子犬たちの面倒を見ていました。
離乳食が始まっても、子犬たちは相変わらず母犬を追いかけて、チャンスがあればおっぱいに吸い付いていました。
子犬が新しい家族の元に旅立つのが生後およそ2か月後。
母犬はその後少しずつ体力を戻していきますが、しばらくすると被毛がごっそり抜けて子犬たちに栄養を取られてすっかり痩せたしまったボディラインがはっきり見えるようになります。
体力が戻るまでにはまだまだ数か月はかかるわけです。
そのため理想的な繁殖計画は、1年半から2年ぐらいあけてからとも言われています。
生まれてくる犬の頭数によって、当然収入は変化しますし、母犬のケアにも費用が掛かります。
所有している母犬の数が増えれば、当然その負担もかかります。
食費、ワクチン、狂犬病予防接種、フィラリア、トイレシーツなどなど。
母犬の健康管理や生まれてきた子犬たちの世話を考えると、ブリーディングはとても大変な仕事です。
生業にしようとすれば、人件費もかかるかもしれません。
簡単に言うと、ブリーディングは儲からないということです。
「血統書付き」と言うと、100パーセントの安心保障がついているように考える人がいますが、それは大きな勘違いです。
血統書はその犬の素性を明らかにする家系図です。
血統書には両親犬とさらにその上の両親犬の記載があり、どんなラインの犬かということがわかります。
名前にCHと言う記載があれば、何かのチャンピョンになったということです。
色も記載があるので、両親ともに白黒だったのに、生まれた子が白茶だったというときは、祖父母の犬の色を見て、「あ~、そういうことなんだ。」と納得出来たりすることもあります。
チャンピョンにもいろいろな種類があり、ドッグショーのチャンピョンだったり、トレーニング(オビディエンスなど)チャンピョンだったㇼ、アジリティチャンピョンだったりと様々です。
しかし、それを見ることで、その犬がその犬種のスタンダードを受け継いでいるのか、運動性能を受け継いでいるのかを確認することもできるわけです。
もちろんCHが付いてなくてもいいんです。
要はその犬が、その犬種であることをきちんと証明して、両親犬がわかっていることが大事です。
「血統書が付いているから値段が高い」と言われれば、ある意味ちゃんと証明された犬だからという保証はあるかもしれませんが、健康上問題が無いかどうかはブリーダー次第です。
繁殖前に、健康チェックがきちんとなされたか、生まれた後の子犬の健康管理がきちんとされていたか。
全てはブリーダーの責任とも言えるでしょう。
確かに何頭も生まれれば、中にはドッグショーでチャンピョンを取れない犬もいるでしょう。
同じ犬種であっても、スタンダードには厳しい決まりがあります。
その良し悪しは別として、急にサイズが小さい子ばかり増えてしまったり、あるいは、半立耳がスタンダードなのに、立ち耳の子が生まれてしまったりする場合もあります。
そういう犬たちはドッグショーをやりたい人には向かないので、スタンダードを基準にしているブリーダーであれば、家庭犬として譲ると言う選択をします。
その場合当然販売価格はスタンダードの犬より割安になります。
別にそれはいいんです。
値段が安いからその犬の価値が下がるわけではなく、性格が良ければ、家庭犬として申し分ないのですから。
要はそういうことをきちんと新しい飼い主さんに告げることが大事なのです。
犬は生き物ですから「不良品」という言葉は使いたくありませんが、健康な子犬がやってくると信じていた人たちをだますようなことをしてはいけないと思います。
良心的なブリーダーであれば、それも含めてサポートします。
そもそも、きちんと健康管理がされていても、生き物である限り100パーセント問題ないとは言い切れません。
それをわかったうえで、取り扱うことがプロとして必要なのではないでしょうか。
余談ですが、ドッグショーのチャンピョン犬になるにはとても費用がかかります。
審査基準がジャッジの眼に頼るしかないため、スタンダードの基準を満たしていても、ショーに出れば必ず勝ってタイトルが取れるという保証はどこにもありません。
そのため、全国のショー会場に足を運び、高いエントリーフィーを払い、場合によってはプロのハンドラーにハンドリングを頼まなければいけないこともあります。
生半可な費用ではないので、当然投資した分が子犬の値段に上乗せされることも考えられます。
そこがオビディエンスやアジリティなどのチャンピョンと違うところです。
オビやアジは競技での成績が良くなければチャンピョンにはなれません。
成績は「出来たか出来なかったか」で数字化されているので、
ドッグショーに比べればわかりやすいと言えるでしょう。
もちろんエントリーフィーはかかりますし、トレーニングに費やす費用もバカにはなりません。
しかし、どんな犬がやってきてもかわいい我が子になっていきます。
良心的なブリーダーであれば、かわいい我が子の産んだ子犬をどこに嫁がせるかとても悩みます。
お金の問題ではなく、その犬が幸せになれるかどうかを考えるからです。
決まった犬種の犬を探そうと思ったら、労を惜しまず情報収集してください。
ご縁はいつやってくるかわかりませんが、子犬がやってきたら、終生お世話をする気持ちで、犬と一緒に勉強していきましょう。
もうすぐ七夕です。
21年前、生まれる前から予約が入っていたにもかかわらず急なキャンセルで行き先がなくなってしまった我が家のイケメン君。
いい家庭が見つかりますようにと短冊に書き、車のウィンドウに写真付きのチラシを貼って1ヵ月走り回ったところ、七夕のその日に連絡をもらい、素敵なご家族の元に旅立ち、終生かわいがっていただきました。
この時期はどうもセンチメンタルになっていけませんね。
長文失礼いたしました。
🍀 2020年9月4日~6日🍀
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