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2020年7月22日 (水)

人は失敗から学び、犬は成功から学ぶ

人間は失敗したら、次は失敗しないようにと思うことで成長していくのですが、犬の場合はちょっと違うようです。

犬が失敗から学ばないと言う意味ではありません。
ただ、犬が失敗から学ぶときは、とても大きな失敗、つまり犬にとって大きなダメージとなったとき、その行動が出づらくなることがあるということです。
しかし、その行動自体を犬が失敗と思っているかは別です。
どちらかというと、不快や嫌悪を感じたことで、そういう目に遭わないような行動を取りやすくなるということです。

例を挙げると、欲しいものを取ろうとしていたら、棚の上の物が落ちてきて当たったとか、ケージから脱出しようと画策していて手を挟んだといった、衝撃的な経験や痛い思いをすると、その行動をやらなくなったり、やるときはとても注意するようになったりします。
これがいわゆる「天罰方式」とも言われるもので、人間が故意に天罰を起こして、犬の好ましくなく行動をやめさせようとすることがありますが、本当のアクシデントと人間が起こす「天罰」の違いを犬は意外と見ぬいているので、飼い主への信頼感を崩してしまう可能性があるとともに、大きなトラウマとなって後々弊害を引き起こす可能性があるので、犬のことを考えるトレーナーはあまり用いません。
つまり、失敗や嫌悪感から行動を変えようとするのはおすすめ出来ないため、成功から学んでもらうほうがいいというのが犬の行動学を学んだ多くのトレーナーの考え方です。

では、どうやって成功と犬がわかるのか。
簡単です。
犬は褒められることで「合っている」と理解することができるからです。
ただ、ここで問題となるのが、犬はどうやって褒められていると感じるかと言うことです。
人間が一方的に褒めているつもりでも、犬が「快」ではなく「嫌悪」と感じてしまえば意味がありません。

そこで大事なのは犬にとって何が報酬となるかを考えることです。
「正の強化」のトレーニングにおいては、報酬として食べ物が使われることが一般的です。
しかし、中には食の細い犬や、食べることにあまり興味のない犬もいます。
撫でられることが好きな犬もいますが、嫌いな犬もいるので、自分の犬が撫でられ好きかどうかも確認しなければいけません。
頭を撫でようと手を出すたびに、頭を引っ込めたり、逃げたりする犬は撫でられたくないのだと理解してあげましょう。

愛犬にとっての報酬が何かわかれば、それを与えることで犬は喜びますし、同じ行動に対して常に報酬が出ていれば、当然その行動が出る頻度は高くなります。

例えば、跳びつく子犬が座るたびにフードを一粒あげていると、何も言わなくてもオスワリをするようになります。
跳びつくより座った方がメリットがあると学習したからです。
犬にとって成功かどうかを区別するのは、報酬が得られるかどうかが大きなポイントになってきます。

したがって、人間側が意図して学習して欲しくない行動であっても、犬にとってメリットがある場合は、勝手に学習して身につけてしまう行動もあります。
例えば、食事中食べこぼしをする家族がいれば、人間の食事が始まれば必ずその人の足元に行って落ちてくる食べ物を待つという行動が習慣になってしまうなどがこれにあたります。
この場合、いくら飼い主が「やめなさい。」と言ったところで、すでにメリットがあると犬は学習しているので直すのはとても難しくなります。
これをやって欲しくないと思えば、家族に絶対食べこぼしをするなと言うしかありませんが、そんなことはまず無理なので、そもそも食事が始まる前に犬をハウスに入れておくというのがお互いストレスを減らせるでしょう。

間違っても、わざと失敗させて叱るという行動を繰り返さないようにしましょう。
叱られ続けている犬は、叱られない方法を考えますが、その選択肢の中には、「逃げる」や「何もしない」という行動もあります。
どちらも犬の立場に立ってみると楽しいことではありません。

犬のメンタル面も考えながら、犬と一緒に学んでいきませんか。

202007221

見習いは、トリーツは大好きですが、目の前に目標物が見えてしまうと、そちらが気になってトリーツには見向きもしません。
何をご褒美に使うか、時と場合によって変わることもあるので、ハンドラーはいろいろ工夫しないといけませんね。

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