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2020年6月 7日 (日)

犬のわがままってなんでしょう。

飼主さんからよく聞く言葉の中に、
「うちのコはわがままだから、言ってもやってくれない。」
というのがあります。

犬の「わがまま」ってなんでしょうか。

犬に限らず、人間でも自分の要求がほぼ全てかなう環境にいると、
要求がかなわないという状況に直面しても、なんとか要求をかなえようとするのではないでしょうか。

犬にとって、日常生活の中でかなっているほぼ全ての要求とはどういうことを言うのでしょう。
この場合、食べることや排泄すること、寝ることなどの生命維持に必要な要求は別にします。

よくあるのが、
・家の中はいつも自由で、行きたいときに行きたい部屋にアクセスできるし、飼い主の後ろをついて歩きたければついて歩き、行きたくなければ行かない。
・ごはんは好きな時に食べる。一度に食べず、残してもいつでも食べられるように部屋の中に置いてある。
・飼い主に言われたことをやってもやらなくても特にメリットやデメリットがない。
・散歩中行きたい方向に飼い主がいつもついて来て、好きなだけ自由にさせてもらえる。


この状態は、ある意味多くのことを犬任せにしているので、犬は自分がやりたいこと、あるいはやるべきことと信じていることだけをやればいいと理解しているからです。

別に「わがまま」なのではなく、そういう風に生活していることが許容され、犬もその生活を享受しているだけです。


日常的にこんな生活だけをしていると、ほぼ何の制約もないので、
やって欲しくない行動を取った時だけその行動を修正しようとしても
なかなか直しにくいものです。
場合によっては、急にやりたい行動に制約がかかったことで、
嫌悪感をあらわにする犬もいます。
つまり、「吠える」や「噛む」という行動に繋がりやすくなります。
どの犬もそうなるわけではありません。
最初はちょっと唸って「イヤだ」というサインを出し、
聞き入れてもらえなければ吠えたり噛んだりするかもしれないと言うことです。


先に挙げた日常行動が全て悪いわけではありません。

・たとえ自由に家の中を行き来出来たとしても、飼い主さんに「ハウス」と言われて待てるトレーニングが出来ていれば問題ありません。
・食餌に関しては、一日中ダラダラ食べていれば、食べることへのモチベーションは下がるので、食べ物はご褒美としては使いづらくなります。「おりこうさん」と言われて飼主の手から食べ物をもらわなくても、自分の食器にはいつも食べ物が置いてあるからです。
飼主が特に食べ物をご褒美に使わないと言うのであれば、健康面や衛生面の問題をクリアすれば、一日ごはんが置きっぱなしになっていてもそれはそのお宅のルールであれば構わないでしょう。
・飼い主に言われたことをやっても褒めてもらえるわけでもなく、やらなくても出来るようになるまで練習するわけでもなく、どっちでもいいのであれば、飼い主の言葉にはあまり価値が無くなってしまいます。
そんな状態で、言うことを聞いてくれないと嘆くのは犬の問題ではありません。
・散歩中、「犬を自由にさせたい。」という気持ちはよくわかりますが、時には傍に呼び戻すことも必要です。
しかし、いつもやりたいようにさせていたら恐らく呼んでも戻っては来ない可能性は高いので、そんな愛犬にわがままだと言うレッテルを貼るのは飼い主の身勝手ですね。

つまり、人間が犬に「わがままでいい」生活を提供しているために、犬はその行動になんの疑問も持たずに生活してきただけのことなので、犬が「わがまま」なのは犬のせいではないということです。

犬が自分の要求がかなわなかったことで、吠えたり、唸ったり、噛んだりしたときは、その行動自体を取り除こうとするのではなく、その理由を見極めるためにも、今までの生活全般を見直すことが大きなポイントになってきます。

先日、おもちゃ箱からおもちゃを出して欲しいと要求している犬がいました。
最初はおもちゃ箱の前に座っています。
誰も気づかないと、おもちゃ箱をひっかきます。
それでも誰も何もしないと、執拗に吠えます。
おもちゃ箱は自分の目の前にあって、中に顔を突っ込めば自分で取れる位置ですが、
飼主さんがいつも取ってあげているそうです。

以前にも書きましたが、我が家の見習いは水が飲みたくなると
水入れの前に座ってじっとしています。
しかし、私が机に向かっていると気づきません。
彼はそれでもじっと座っているので、私は水が無くなったら水入れを手で叩くことを教えました。

202006071

水や食べ物は大事な生きる糧ですから、当然の要求です。
気づかせてもらうために教えた行動なので、
彼が水入れを叩いたら、私はすかさず入れるようにしています。
自分が教えてしまった行動ですから当然ですね。
すると、彼はまた喉が渇けば叩くことをしっかり学習していくわけです。

犬との生活面白くてやめられません。

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