ドッグトレーニング:新しい行動を教える手順を考える
犬に新しく行動を教えるときには様々な手法があることは以前にも書いていますが、
今日は手法ではなく、手順のお話をしようと思います。
例えば、「オスワリ」という行動を考えると、最終的な絵は
犬が腰を下ろしている姿ですが、実際は立っている状態から腰を下ろすのか、
伏せている状態からオスワリするのかという部分では全く異なる体の動きを
犬に要求することになります。
厳密に言えば、「オスワリ」できますか?と言われたとき、
「立止」からは出来ても「伏臥」からは一度立ち上がらないと出来ないのであれば
ある意味「オスワリ」が完璧にわかっているわけではないとも言えるかもしれません。
しかし、通常の家庭犬であれば、大勢に影響のないレベルです。
いずれにしても、「お尻と前足を地面につける」という行動を教えるのは
単一の行動なのでさほど難しいことではありませんが、
いくつかの行動を組み合わせた行動を教えるのは意外と難しいものです。
さて、今回アシスタントに教えている「モンローウォーク」。
胴体とのバランスを考えると、ショータイプのボーダー・コリーは足が短めですが、
時間があったので教えてみることにしました。
現時点での「モンローウォークもどき」の仕上がりまで、
ちょうど2週間かかっています。
毎日、2セッションぐらい(合計10分以内)で14日間。
前回見習いに「お片付け」を教えて、形になるまで4日間ですから、
大分時間がかかっていることになります。
しかし、実を言うと、アシスタントにはすでに伏せた状態で
前肢をクロスさせるトリックは習得していました。
ということは、2週間かけて、立ったまま、なるべく位置を変えずに前肢をクロスさせるという動きを習得したことになります。
逆に言えば、たったそれだけの行動を教えるのに2週間もかかったということになります。
<伏せた状態でのクロスのトリック>
では、なぜ立止で同じ行動をするだけなのに2週間もかかったのでしょうか。
第一に、アシスタントは「クロス/ハンド(前両足をそれぞれクロスさせる動きのキュー)」は伏せてやるものと思っていたので、立止の状態で行うように教えることが必要でした。
「立止」でのクロスは「伏臥」と比べ、交差した前肢をキープするのが難しくなります。
第二のポイントはその場でやってもらうこと。
伏せていれば動くことはありませんが、立っていれば当然動いてしまいます。
しかし、前進しようとすれば、どうしても前肢がクロスしづらくなります。
その場から動かないでやってもらうには動かないことを強化しなくてはいけません。
第三のポイントは、焦らないで、キューを聞きながら前肢を動かすこと。
これは特にせっかちなアシスタントにとってはもっとも重要な部分でした。
これらのポイントをクリアするまでに2週間かかったわけです。
それでも現状は「モンローウォーク」ではなく、「モンローウォークもどき」なのは、
この動きが出来るシチュエーションがハンドラーの位置関係に依存しているからです。
果たして、本当の「モンローウォーク」は出来るようになるでしょうか。
一つの行動を教えるにはいくつかの行動が組み合わせ無くてはいけないことも沢山あります。
成功への近道は、ひとつずつ丁寧に。ですね。
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