多頭飼いの落とし穴
一頭飼いから多頭飼いの世界に足を踏み入れるとき、
先住犬が新しく迎えた子とうまくやっていけるだろうかと考える飼い主さんは少なくないでしょう。
そんなときは、成犬を迎え入れるより、子犬を迎えた方がうまくいくことが多いようです。
もちろん、それぞれ個体の性格があるので、
子犬だからと言って、なかなか受け入れてくれない場合もありますが、
先住犬が面倒見がよかったりすると、嬉しくなってついつい多くのことを先住犬任せにしてしまうことがあります。
確かに、犬は観て学ぶことがとても多いので、我が家のアシスタントたちをパピーレッスンに同伴することも少なくありません。
しかし、同居犬となると、先住犬の行動ばかりを見倣って覚えた子犬は、人間との会話がスムースにいかないこともあります。
例えば、とても良くできた先住犬が、ご飯の時間になるとさっと座り、食器が出されるまで落ち着いて待っているとします。
子犬はその行動を観ながら、同じようにオスワリをして食器を待つことができます。
飼主は、「この子てんさ~い♪」と喜ぶでしょう。
しかし、子犬は先輩の行動を模倣しただけで、「オスワリ」という言葉を学習することも、「マテ」という言葉の意味もまだ理解してはいません。
常にそばにいる先住犬と同じことをしているだけで、実際には人間とコミュニケーションを取るための言葉のキューをきちんと教えてもらっていないからです。
犬は犬から多くのことを学びますが、人間(飼い主)も新しい犬に人間とのコミュニケーションの取り方を個別に教えてあげないと、言葉が通じない犬になってしまわないとも限りません。
いい先輩がいることは有難いことですが、先住犬に教えたように、
新しい子犬にもひとつひとつ丁寧に教えてあげましょう。
自発的に座ったら、「オスワリできたね。」
食器にかぶりつかずに待っていられたら、「マテだね。」
くれぐれも犬任せにしないように。
特に、面倒見がよすぎると、子犬自身の社会化を妨げてしまう可能性もあります。
実は我が家で繁殖したボーダー・コリーの女の子が、怪我のせいで散歩に出られる時期が同胎の弟犬より2か月ほど遅くなってしまい、ようやく散歩に行かれるようになったころにはかなり引っ込み思案になっていました。
それを見ていた弟犬は他の犬が姉に挨拶しようとすると、間に入って姉を守ろうとするようになったのです。
おかげで彼女は自分から一歩を踏み出す機会を失くしてしまい、生涯犬が苦手なままでした。
吠えかかるとか、喧嘩になるとかではなく、いつも誰かの後ろにいるようになりました。
私自身が、無理に犬友達を作らせようとは思っていなかったので、日常生活にはなんの問題もなかったのですが、もう少し彼女の世界を広げるサポートをしてやれればよかったと後悔しています。
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