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2019年7月22日 (月)

賢い犬ほど難しい

生後9か月くらいからずっと見させていただいているJさん。

当時はご家族全員を噛むという行動がでていました。
理由は、子犬のころ甘噛みがひどくなり、かかりつけの獣医さんに相談されたら、「リードを引っ張って吊り上げてください。」とアドバイスされ、ずっと続けていたからでした。

痛いことをされる前にと、人の手に過剰に反応し、特に自分のテリトリーを侵されそうになると、一歩も引かない子になりました。

カウンセリングに伺ってから、Jさんにとって嫌がることをしない。
自分から近づいてきても、気を許して触り続けていると急変するため、しつこいことをしない。
そういったことを続けてきて、「噛む」という行動が減り、今ではほとんど噛まなくなりましたが、噛むことを忘れたわけではありません。

私は第三者で、今まで一度も嫌なことをしていないので、私を噛むことはまだ一度もありませんが、嫌なことをされそうになると、牙をむく姿は何度か見ています。

嫌なことと言っても、最初はハウスの扉を触ることだけにも過剰に反応していましたが、ハウスは安全な場所であること、ハウスの中に誰も手を入れないことなどがわかってきてからは、「ハウス」と言われれば、素直に出入りできるようになりました。

そのため、今でもJさんがイラっとする環境を作らないように飼い主さんはとても配慮してくれています。

Jさんは、ある時期から散歩が嫌いになったようで、同居犬が散歩に行くときは置いて行かれることに怒りを顕にするものの、散歩に行くかと聞くと、さっさとハウスに入ってしまうようになりました。
しかし、外でしかトイレが出来ないJさんを飼い主さんが心配されていたので、1年ほど前トイレトレーニングをして、現在は室内でもトイレができるようになりました。

今でも気が向くときしか散歩には行かないので、運動不足もあいまって、最近は多少体重が増え気味。
できるだけ散歩に連れていかれるようにしましょうと言ったのですが、リードを見ると豹変してしまうそうで、今は飼い主さんがリードを付けられない状況だそうです。

そこで、今日はリードを使ったハズバンダリートレーニングを行いました。

リードをチラッと見ただけで、クリック/トリーツ。
リードに近寄ったらクリック/トリーツ。
リードを持った手が少し動いても逃げなければクリック/トリーツ。
リードを持った手が首輪を触ったらクリック/トリーツ。
リードを持った手が首輪に触って1秒待てたらクリック/トリーツ。
リードを持った手が首輪に触って2秒待てたらクック/トリーツ。
リードが首輪のフックにかけられたらクリック/トリーツ。
リードが首輪から外せたらクリック/トリーツ。

まずは私がやって飼い主さんに観ていただきました。

最初はちょっと緊張気味だったJさん、トリーツが出ることがわかって、一生懸命頑張っていました。
1回目のセッションが終わってどっと疲れが出たのか水を沢山飲んでハウスに入ってしまいました。

別の犬のトレーニングをしている間しばらくほうっておいて、時間をあけたところで、「Jちゃん、やる?」と聞くと、彼女は自分から来てくれました。

2回目のセッションが終わったJさん。

201907221

心地よい疲れも加わり、久しぶりに、穏やかな表情を見せてくれました。
Jさん、初めて当ブログに登場かもしれません。

このトレーニングは決して急がないこと。
リードを無理に付けようとせず、リードが付いてもすぐ散歩に行こうとしないこと。

賢い犬ほど素早く次を予測し、警戒してしまいます。

まだまだ先は長そうですが、気長にやっていきましょう。

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