噛まない犬になれるのか。
今日たまたま保護犬のボランティアさんと遭遇して話題になった「噛み」の話。
以前「甘噛み」についてでも書いたのですが、犬が本気噛みをするようになってしまった場合、果たして本気噛みはトレーニングで治るのでしょうか。
第一に考えなくてはならないのが、なぜ噛むのかという理由です。
獲物と考えて、噛み殺すほどの力で噛んでくるのか。
自分を守るための防御なのか。
一般的な家庭犬が噛むようになる場合は、嫌なことをされそうになった時の対応ミスが多いものです。
もちろん、嫌なことをされそうになってすぐ噛むわけではありません。
その前に、「やだ!」という意思表示はしています。
顔を背けたり、小さく唸ってみたり、犬たちからのサインはあったはずです。
それを、「これくらいなら大丈夫」とやり続けたことで、最終的に噛むという行動に出ざるをえなくなってしまうことが多いのではないでしょうか。
なぜそれが嫌なのか。
あえて嫌がることをやらなければいけないのか。
嫌なことを楽しいことに変えられないのか。
犬の立場に立った見方をしないと、単純に「人に唸るとはなにごと!」とばかりに力で服従うさせようとすれば、個体によって性格も異なるので、受け入れられる犬もいればそうではない犬もいます。
ご相談をいただく飼い主さんの多くは、古いしつけ本や、古いトレーニング方法を聞きかじった人による、歯向かう犬はマズルをつかんで力で抑える方法や、首輪につないだリードを吊り上げて、犬の首を締めあげる方法をやってみたところ噛まれるようになったというものです。
犬もバカではないので、自分の身が危ういと思えば抵抗しないわけがありません。
なぜなら、問題の多くはやんちゃな子犬時代に端を発していて、飼い主(人間)との信頼関係が出来た犬との間ではほとんど起こらないからです。
もちろん、保護犬のように、様々な経験をしてきた犬の場合は別です。
噛むことで危険回避を学習した犬が噛まないようになるには、単に犬に危険を感じさせないことぐらいしかありません。
つまり「嫌がることを敢えてしない。」ことで、噛むスイッチが入らない期間を延ばしていき、最終的には、噛む手段を選ぶ前に少し考える時間(余裕)が持てる犬になってもらうことでしょう。
問題なのは「嫌がること」が何なのか。
ブラッシングだったり、爪切りだったりという、明らかに嫌がりそうなことは人間にもわかりますが、体に触られるだけでも抵抗を感じる犬はいます。
特に体罰を受けた犬はなおさらです。
「犬は撫でられれば喜ぶはず」という人間の常識は通用しません。
一度失った信頼を取り戻すにはとても時間がかかります。
いつかまた嫌なことをされるのではないかという予測も働いて、噛む経験を持った犬はいつもピリピリしているものです。
だからと言って犬の機嫌を取るのではありません。
敢えて嫌がることをしないことで、嫌なことをフラッシュバックさせないことが大事なのです。
トレーニングによって改善ができるとすれば、その後のことでしょう。
嫌なことが嫌でなくなるようなトレーニングは時間をかければできるものです。
しかし、それも信頼関係が築かれていればこそです。
犬の発するサインを見逃さないようにしましょう。
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