セラピードッグ

ママは私がまだ小さかった頃、私を「セラピードッグ」にするんだとか言って、はりきって案内書なんかを取り寄せたりしてたみたいだけど、私には合わないのよね。
ほらっ、『羊追い』の時もそうだったけど、嫌なことはしないし、絶対顔に出ちゃうのよね。
何しろ一人っ子で育ったから、我慢っていうのが嫌いなのよ。
まぁ、ママの育て方が悪かったんだから仕方ないけどさ。

でもね、私と違って、子供達はいい子よ～。
どんな時でも「イヤだ」とは言わないの。
相手がどんな感じでも、ママに「ご挨拶は？」とか「いい子よ。」って言われると、側に行って尻尾を振り振り愛想を振りまくの。

私なんか、まだヒトになっていない生き物に尻尾を踏まれたときに、「ちょっと、気をつけなさいよ！」ってはっきり言っちゃったけど、ハンスは耳をギュッと捕まれて離してもらえなかった時でも、最後まで我慢してた。
そういうところはちょっとえらかったりするのよね。

公園に行くと、本当にいろんな人に声をかけられるの。
以前おウチで犬を飼っていたけど、歳をとって飼えなくなって、公園で会う犬を触って和む人とか、犬が飼いたくても、住宅事情で飼えない人とか。
そういう人たちが、私達に触って、嬉しそうに帰っていくのを見ると、肩書きは無くても、『セラピードッグ』になった気分を味わえるわ。

ニッキーは特に若い男の子に好かれるみたいで、ピタッて寄り添われると、みんな「こいつ、かわいいなぁ。」って言うのよね。
まったく調子がいいんだから。

結局私は何にもしなくて良くなっちゃった。ホッ。
これからも渉外担当は子供達に任せるわ。

子供達がこれからも励むようにワンクリック、ヨロシクね。
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