ニッキーとハンス
「タオルは渡さない!」
「私だって負けないわよ!」
楽しい旅行も終わり、家に帰ると、ニッキーもやっとみんなと散歩が出来るようになったわ。
ところが、ハンスはニッキーよりちょっぴり早く外に出ていたもんだから、すっかり兄貴気取りで、見るもの全てに感動しているニッキーにすぐちょっかいを出すようになったの。
普段の散歩はリードが付いているからあまり変なことは出来ないけど、週末公園に行くと、広い芝生の上を嬉しそうに駆け回るニッキーをハンスは追い掛け回し、体当たりを食らわせて泣かせていたのよ。
なんであんなことをしたのかしら。
一緒に走ったりして楽しく遊べばいいものを、ニッキーがちょっとボーッとしながら景色を眺めていると、後ろからそっと近づいて転ばせるもんだから、もうニッキーは何がなんだかわからなくて、キャンキャン泣きっぱなし。
そう言えば、ママがよく言ってたけど、男の子って好きな子には意地悪したくなるのよね。
きっとハンスはニッキーが一緒に外に出られるようになって嬉しくてしょうがなかったんだろうけど、不器用だから、素直に遊ぼうって言えなかったのね。
しかも、今までは余所のワンと楽しそうに遊んでいたハンスが、ニッキーしか見なくなったのよ。
よそのワンが側に来ると、まるで王子様気取りで、その子の前に立ちはだかって、ニッキーの側に寄せないようにするの。
なんでそうなるのかしら。
でもある日とうとう堪忍袋の尾が切れて、ニッキーが反撃に出たの。
その反撃たるや、ものすごくって、流血騒ぎにまでなっちゃったのよね。
ハンスもほどほどにしておけばよかったのに、しつこすぎるのよ。
その後少しはニッキーに対する態度に変化が見えたけど、それはニッキーがはっきり「NO!」って言うようになったからだわね。
でも相変わらず外では、ニッキーが友達を作ろうとすると、ハンスが割って入るもんだから、だんだんニッキーはよそのワンに寄るのが怖くなっちゃったみたい。
その後遺症は今でも続いていて、彼女が余所のワンに慣れて、やっと友達になって欲しいと思う頃には、相手が待ちくたびれて帰ってしまうことが多いのよ。かわいそうなニッキー。
幼い子供ならまだしも、今はニッキーももうオバサンだしね。
やっぱり小さい頃からハンスに厳しく言っておけばよかったわ。
子育てには失敗したけど、ポチッと押してくれると嬉しいワン。
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