気がつけば私にも災難が...。Part II

ママを探して走り回っている間に、お月様がどんどん見えなくなっていくの。
さっきまでは、あんなにキレイに光って、あたりを明るくしていたのに、もうほとんど見えなくなってた。
ママ～。ママ～。

その公園は昔ゴルフ場ってところだったから、とっても広いんだけど、ほとんど外灯が無くて、奥の方に行っちゃうと、誰かと会っても、すぐ傍まで行かないと誰だかわからないくらい暗いの。
その日は月食を見に来ている人が沢山いたから、私は人に会うたびに、ママかどうか見に行かなきゃいけなかった。
私は隅から隅まで知っているつもりだったんだけど、ひとりぼっちになったら本当によくわからなくなっちゃって。
そんな時、高速道路のライトが見えたの。
「そうだわ。私はママと車で来たんだった。車のところへ戻れば、ママに会えるかも知れない。」
そう思って、道路のライト目指して走ったの。

なんとか公園の出口を探して外に出たんだけど、いつもの場所じゃなかったみたい。
どっちへ行けばいいのかしら。
でも私は犬なのよ。あとは感で走るだけ。
とにかく明るい方へ向かって車の走る道を一生懸命走ったの。

そうしたら、ママがいつもの出口から自転車で出てきてるじゃない。
ママ～！ママ～！
ママも車のところまで探しに来てくれていたのね。
考えることは一緒だわ。

私は必死で走ったわ。
車の周りでウロウロしていたママがやっと私に気づいてくれた。
ママは自転車を降りて、ピョコタンしながら私の方に走ってきてくれた。
「クリス！クリス～！」
もうそのまま抱きついちゃったわよ。あ～、怖かった。
ママの顔はガビガビになってしょっぱかったわ。

感激の再会を果たした私たちは、お友達が待っているところに戻ったんだけど、その頃はお月様もまた顔を出しはじめてて、楽しみにしていた「皆既月食ツアー」は終わっちゃった。
満月の夜って、なんか変な気持ちになるんだけど、皆既月食の夜は変なことが起きるかも知れないから、みんな気をつけてね。

またまたちょっぴり復活の兆しだわ。
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